知られざる作品

 昨日買った『週刊 ニッポンの国宝100 4』小学館、国宝曜変天目茶碗の解説。

《 宇宙を映したような見込み 》 30頁

《 銀河のような深海のような唯一無二のきらめきです 》 30頁

《 のぞきこんだ瞬間、暗闇ときらめきが混じり合う世界に吸い込まれる──そんな茶碗がほかにあるでしょうか。曜変天目の魅力は、なんといっても見込みに 広がる景色です。 》 30頁

 北一明の「耀変茶碗」の紹介文を読んでいるのかと錯覚する。まあ、私はこのような文は書かないが。
 http://web.thn.jp/kbi/kitaron.htm

《 そして、腰のあたりのふっくらと厚みのある飴状の釉の溜まり。これは焼成の際に偶然できたものではなく、土見せを保つための”工夫”です。 》 28頁

《 漆黒の輝きを見せて豊かに盛り上がった釉薬の溜まりは、肉感的でさえある。 》 27頁

 北一明はこの釉溜まりに独自の美を発現させ、乳頭と命名した。彼は耀変からガラス質まで多彩な乳頭を焼成した。それらは『陶 第9巻 北一明』京都書院1991年で 見るころができる。陶芸界の埒外にいる私の発言は、これまた犬の遠吠え、か。しかし、月にでも吠えなければ誰にも伝わらない。北一明ほど陶芸業界から黙殺された 陶芸家はいないのでは。桁外れの作品ゆえ、正当に評価する陶芸評論家はなかなか出ないだろう。なぜなら焼きものの序列が瓦解してしまうから。というくらいに、 私は北一明の焼きものを極めて高く評価している。"kita kazuaki tea" でググると約 21,000 件。

 一般には未知の作家を顕彰するのはワクワクする。犬の遠吠えであっても、ワカル人はわかっている。味戸ケイコさんの小さい絵は『日本美術全集』小学館2015年に 収録。昭和二十年に東京で亡くなった木版画絵師小原古邨は最近人気がぐっと騰がってきた。"ohara koson" でググると約 432,000 件。
 ほかに今、熱い視線を送っているのが、明治の末に審美書院を引率した田嶋志一が関わった美術画集だ。この拙ブログでは夏以降何回か話題にした人。 どこかの美術館で彼の出版した画集をまとめて展示する機会はないものか。

 中野書店のウェブサイト、田嶋志一が編集した『真美大観』の記事「わが国最初の美術全集 真美大観 大判 帙付 明32〜41 20冊揃 525,000円」から。

《 この「真美大観」は会員への頒布という形式で出発。当初の価格設定は1冊が15円50銭、全20冊完結すると210円。ピンとこないかもしれませんが、だいたい一冊で 普通のサラリーマンの給料ひと月分くらいです。「俄か美術家として之を購うの資力あるもの、果して幾人かある」と囁かれるほどに高価なものでした。 》
 http://nakano.jimbou.net/catalog/geta_themes.php/gtID/18

《 驚くべき情熱でわずか八年余間に刊行された美術品のような図書の数々は、今後だれも辿り着くことのできない一つの頂点だと思う。 》 田島志一と審美書院
 http://web.kyoto-inet.or.jp/people/artbooks/kusa13.html

 山口須美男「明治期の写真・印刷と出版事情」中段に「審美書院発行の美術書」。
 http://www.artbooks.jp/Korotaipu.htm

《 手探りで始まった日本の紙業に命を吹き込んだのが、日本の近代紙器業のパイオニア田島志一である。田島は、大正3年(1924)に52歳で不遇のうちに亡くなったが、 その波乱に富んだ生涯は日本紙業発展の歴史の中に、本流といえる足跡を刻んでいる。 》 日本紙器業の歩み
 https://www.tokyo-shiki.co.jp/history/index.html

 晴天の朝、源兵衛川下流から分岐している水路のヒメツルソバを抜く。ここもずいぶん減って楽。「水と緑の杜」井戸周辺にはびこっているヒメツルソバを抜く。 土のう袋一杯弱。汗一杯。帰宅、シャワーを浴びる。
 午後、買いものついでにブックオフ長泉店へ寄る。吉田敦彦・古川のり子『日本の神話伝説』青土社1996年初版帯付、牛島信明ドン・キホーテの旅』中公新書 2002年初版、呉座勇一『応仁の乱中公新書2016年6刷帯付、計324円。

 ネット、いろいろ。

《 枝野代表「人生は基本は自己責任だけれども、どんな人でも人生の中に、自分の力だけではどうにもならないことが必ずある。 年を取って体が弱くなって急な病気になったり、事故に遭ったり、一生懸命働いているのに勤め先が倒産して失業したり。そのときのために政治があるんです。」 》  立憲民主党
 https://twitter.com/CDP2017/status/917964775690244099

《 早川書房ノーベル賞受賞の英国人作家カズオ・イシグロさんの小説全8作を計約73万5千部増刷決める。 》 共同通信47
 https://this.kiji.is/290441049259115617

《 「早川書房ノーベル賞三冠王です」。 》 タニグチリウイチ
 https://twitter.com/uranichi/status/917667892795105280/photo/1

《 今日の原子力規制委員会の傍聴。六ヶ所再処理工場の完成が、事実上、無期延期となった。これで、再稼働させた原発の使用済み燃料を 六ヶ所再処理工場に運ぶ意味は無くなり、原発敷地内で保管しなければならなくなる。電力事業者にとってはコスト高の要因。原発終焉の歩みが一歩進んだ。 良かった! 》 春橋哲史
 https://twitter.com/haruhasiSF/status/917955818141769728