歳末の美術本鑑賞(閑人亭日録)

 この数日、『圓山四條畫鑒(円山四条画鑑)』國華社、『和漢名画選』國華社の重厚な二冊を鑑賞してけっこう疲れた。きょうは審美書院の薄い美術本を開く。編輯兼發行者 田島志一『美術聚英 第十册』審美書院 明治四十四(1911)年十月十二日發行。多色摺木版画は一つ。『緒形光琳筆四季花木圖屏風一雙』。これが素晴らしい。解説全文。

《 草木花葉の美を象徴の中に収めて、虚実の間に理想を遊ばしめたる者、光琳を措いて何處にその第一手を求むべけむや。殊に本圖の如きは象徴美の極端に於いて最もその長を、見るべき名蹟なりとす。 》

 これがネットでは見つからない。海外に流出したのか。この号を最後に、田島志一は審美書院を辞したようだ。
 山崎純夫【田島志一と審美書院】
 http://web.kyoto-inet.or.jp/people/artbooks/kusa13.html