閑人亭日録

『奇想の展覧会』

 種村季弘『奇想の展覧会』河出書房新社1998年初版、今読み返すと、唸ってしまう記述に次々と出合う。

《 前人未踏という意味は、処女地という未知に遭遇したということではなくて、処女地と思ったそこをなおかつ何者かが通過した、その痕跡を追う作業において 前人未踏なのだ。 》 154頁

 そして前人未到。そんな作品もどこかにあるに違いない。

《 けれどもメッセージがすべてではない。メッセージの表現以前に表現手段と交す長い対話がこの画家を特徴づけている。(中略)制作は、描く前から、素材の選択と 研磨の段階から、すでにはじまっている。紙の選択についても事は同様である。慎重な紙選びと、さらにそこからはじまる紙質の吟味。 》 157頁

 先だって、故北一明から恵まれた四十点ほどの多彩な布地に書かれた書の小品を座卓に一枚一枚広げ、鑑賞した。慎重な布選びと、さらにそこからはじまる布質の吟味。 紙にさらっと書いたような筆跡、筆触。

《 世界は黒い汚染物質の堆積のなかに埋もれている。美はその暗黒から光り輝く「遺跡」として発掘され救済されるほかないのである。(中略)けれども汚染の黒を 受苦として、おそらくはまた共苦としてねばり強く引き受けるとき、現存在にとってかぎりなく遠い存在は、その到来を聴きつけるもの静かな耳を通じて、思いがけない 近みに「明るむ」のである。このとき美とは、いたるところに物質に汚された醜であるこの世界との長い対話を通じてはじめて明るむ、あのつねに強靭に待機している 素材の白でなくてはなるまい。 》 160-161頁

 ”美はその暗黒から光り輝く”。北一明の耀変作品を思う。

《 言葉や記号で号令や説得をしても人は動かせない。まして相手は感覚的に反応する美術家である。しかし幼時退行的記憶のにおいを嗅がせれば、砂糖のにおいに群がる 蟻のように、たちまち人はエクスタシーに陥るだろう。 》 188頁

《 シーレだけはやや時代がズレるけれども、この画家がフンデルトヴァッサーらによる再評価につれて復活してきたのは六◯年代だった。 》 190頁

《 なかでも瀧口(修造)さんには、一九七二年「現代詩手帖 ルイス・キャロル特集号」のインタヴュアーとして一晩ゆっくりお目に掛かることができた。 》 193頁

 その『別冊│現代詩手帖│第二号 ルイスキャロル』思潮社を開く。

 ネット、うろうろ。

《 南海トラフ、事前避難地域を選定へ 政府が対応指針 》 日本経済新聞
 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43066550Z20C19A3MM0000/?n_cid=SNSTW001
 我が家はぎりぎり範囲外。なんだかなあ。

《  山と山に挟まれた狭い谷にコンパクトに美しく収めた、、
  高尾山インターチェンジはアートだ。 》 ミライノシテン-本部-山口潜伏
 https://twitter.com/mirainoshiten/status/1110835951478030336

《 絶対ない、とは言いきれない…「超愛国的」元号候補を考えてみた/辻田 真佐憲 》 現代ビジネス
 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/63752

《 あのどうしょもない官房長官が新元号を発表するのか。 》 千葉雅也
 https://twitter.com/masayachiba/status/1111537887877562368

《 常識が通じない人が安倍総理。森羅万象の守り神。出来上がってる。でももうすぐさよなら。 》 ウォンバット
 https://twitter.com/TfXhCPX2mxpC6Hf/status/1111234871219806208

《 安倍政権だって永遠に続く訳じゃない。いつか安倍政権が退陣した時に不都合な真実が白日の元に晒されるかもしれません。そうなった時、 それまで安倍政権によいしょしていた人達は何を言うのでしょうか。「あの時はああするしかなかった」と敗戦直後の戦争指導者みたいな言い訳をするんでしょうか。→  》 誠意大将軍
 https://twitter.com/Myoritomo1192/status/1111216191710740481