『形象と時間』四(閑人亭日録)

 昨日、谷川渥『形象と時間』、「VIII 像の差異──影像・写真・絵画」「X 瞬間の変容」から”なぜかと言えば、長年考えてきたことがこの二つの章で解決の糸口 あるいは解決の一例を見いだせたから。”と書いた。そこで思い浮かべていたのは、例えば味戸ケイコ『はてしもなくて』の画像と「ひとこと」。
  http://web.thn.jp/kbi/ajie.htm
  http://web.thn.jp/kbi/ajhate.htm

 そしてその関心(感心)は、「XI 物語的時間の危機」につながる。昨日は引用を見送ろうと思ったけど変更。

《  「物語」とは、時間的秩序にしたがって語られる出来事、いや、むしろ出来事を語る言説そのものにほかならない。それゆえ、「物語の危機」とは、いずれにせよ 出来事の時間的・論理的秩序化が不可能になったこと、あるいは出来事そのものの認識不可能性の事態を意味するわけである。(中略)
  だが、そうした「物語」は、ほんとうに失効したのだろうか。 》 244頁

《 「生活」の時間、すなわち発端もなく終末もない「勝手に積み重なる」だけの日常的時間に対して、「物語」の時間は「始まり」と「終り」をもち、「結末」によって 「発端」に「壮麗さと価値と」が、また各瞬間にそれ固有の意味があたえられるような時間である。ひとつの瞬間が「特権的瞬間」たりうるのは、したがって、このような 物語的時間においてのみであるといわねばならない。 》 258頁

《 そして彫刻や絵画が「瞬間的特権」を表現しているといいうるのも、始まりと終りをもつなんらかの「物語」のなかに、われわれの想像力が眼前のイマージュを 融かしこむことができる場合のみである。 》 258-259頁

《 だが、たとえばリオタールが「ポスト・モダンな芸術家」としてみずからの言説の対象にしたアルベール・エームや、あるいは崇高とアヴァンギャルドを同時に 語らしめる理論的モデルを求めようとしたバーネット・ニューマンの場合、作品はもはやいかなる出来事をも表象しはしない。そこでは作品全体がいわばひとつの出来事 なのである。換言すれば、作品はただそこに現前するだけで、指向的世界についてなにごとも語りはしない。彼らの作品は、「謎」ですらない。「謎」は解かれることを 待つ。(中略)しかしただ視覚的出来事たる作品は、ひたすら感覚されることだけを望む。そこにはもとより物語的時間性の介入する余地はありえない。 》 270頁

 嬉しい言説だ。社会学鶴見和子の、北一明の茶碗への評言を思う。”一碗を通じて人類の歴史を透視する。”。そして北一明『玳皮白流茶碗』を手にする。 見込み(内側)を見ていると、口縁から茶だまり(底)へと流れ落ちた釉薬が、逆に底から上昇する~超新星の爆発のような印象を覚える。エネルギー渦巻く中心から 雷のような白光がぐわっとうねるように進んでゆく。エネルギーの大噴出とでもいおうか。これほどの爆発のエネルギーを感じさせる茶碗は、今のところ知らない。 絵画では描出できないだろうと思う。できたら凄い。

 地元の本屋で服部まゆみ全短編集『最後の楽園』河出書房新社2019年初版帯付を受けとる。
  http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309028446/

 ネット、うろうろ。

《 中村哲さんたちによって、アフガニスタンのガンベリ砂漠は、いまでは全長約25キロメートルの用水路として、1万6,500ヘクタールの緑の大地に生まれ変わった。 これによって65万人もの難民たちが用水路の流域に帰農し、定住するようになった。想像を絶する途方も無い努力があった。 》  □
  https://twitter.com/aki21st/status/1202147193227894784

《 白井聡氏が「戦後日本は米国に追従することで大発展を遂げたが、近年になって米国は『収穫』モードに入った」と言っていたが、 本当にそんな感じだな。米国は「育てた子豚が丸々と太ったぞ」と日本を見ていると。後は美味しくいただくだけ。 》 竹熊健太郎《地球人》
  https://twitter.com/kentaro666/status/1202421103857004545

《  先生「宿題してこいよ」
   生徒「わかりました」

  翌日

  先生「宿題やってきたか」
  生徒「宿題が出たことを承知したのでやってくるとは言ってない」

  これで許す先生いるのか?
  私ですらこのような言い訳は使ったことがない。 》 チョコ@肉球新党
  https://twitter.com/GmRSQtCRKHjdtFT/status/1201913199785676800

《 子供でもわかる嘘ついて、バレそうになったら手下に命じて証拠隠滅。この手口を何度も繰り返し「俺の勝ちー」と、ほくそ笑む65歳の最高権力者を「仕方ないか」 と容認し、ソイツに向かって「卑怯だぞ。証拠を出せ」って、追及する人達を「だらしない」と、こきおろす国に「未来」なんてある訳ないわ。 》 はな
  https://twitter.com/hanakija38/status/1201774317115101185

《 衰退先進国だと思います。 》 豆かん
  https://twitter.com/Ykato024/status/1202177352882503683

《  「この時代は日本史に於ける最大の空白とされている。信頼できる記録がなにも残っていない」
  「首相が誰だったかすらわからないんですよね」
  「そうだ。日本を美しい国にした偉大な首相だったらしいが、名前すら残っていない。唯一の手がかりが、石板に彫られた“彼は逃げ切った”という文言だ」 》  冬樹蛉 Ray Fuyuki
  https://twitter.com/ray_fyk/status/1202083265668112384