『百句燦燦』(閑人亭日録)

 眼の届くところに面陳で置いてある塚本邦雄『百句燦燦』講談社文芸文庫2009年3刷を手にする。加藤郁乎(いくや)「あヽ 亜麻色の初花のともぐひ」について。

《 作品は智慧競べを挑むことはあつても生半可な挨拶など決して迎へはしない。 》 161頁

 と書く著者は壮絶な解釈を弄し、その結び。

《 そしてこれも亦無用のわざ、虚心にこの一句を口遊(くちずさ)み、窈窕(ようちょう)たる色と匂ひを感じるならそれ以上の深入りはむしろ禁物なのだ。(中略) 合鍵探しに奔走するてあひは得てしてその恩寵にはあづかれぬものであり、私もその一人に過ぎないだらう。 》 162頁

 解説で橋本治は書く。

《  まことに愚かな問いである。しかし、翻ってみれば、私自身は短歌や俳句に、いつも「絵」を見ていたのだ。
  作者の心理や心情などは、どうでもいい。まず「絵」が浮かび上がって来るように思う。「絵」が見えず、いきなり「作者の生の声」が聞こえて来るようなものは、 つまらないと思う。そういうものは、表現の奥に隠されてあるべきだと思った。ストレートな声が聞こえて来るのなら、それは「ストレートな声を聞かせるように 仕組まれた表現」であってしかるべきだと思っていた。 》 245頁

《  『百句燦燦』は、私にとって、「文字で書かれた百点の近代絵画集」である。「現代絵画」ではない。
  日本画と洋画を問わず、私は明治以降の日本の近代絵画にかなりの不満を抱いていて、「それ以前の日本絵画の伝統は、どうして近代を開花させてくれなかった のだろう」と思っている。(中略)『百句燦燦』に登場する句は、そういう意味で、すべてが「描かれなかった絵画達」である。それが描かれていたなら、日本の近代は もっと違ったものになっていただろう。 》 248頁

《 絵画が豊かな物語性を宿すものであるならば、『百句燦燦』はまた、見事に完結した百の短篇小説集である。だから、「すごい」と思うしかない。なぜならば、 その完結は、《ただ一度限り決して繰り返しての使用は許されぬ。》を実現してしまったものだからである。 》 250頁

 一昨日の谷川渥『形象と時間』からの引用をあらためて記す。

《 さて、このような激しい過去否定と、現在や瞬間、速度や力動性の称揚とにおいて、「物語的時間」はどのようなありようを示しているのだろうか。 》

 内外を問わず、前世紀の音楽(レコード、CD、カセットテープ)を聴いているが、世紀を越えられない音楽がずいぶんあることに気づく。発表(発売)当時は 良かったが、賞味期限が切れてしまったものたち。美術でも小説でも同じことだけど。私は・・・賞味期限切れ、だろうか。前世紀あるいは昭和の生きた化石かな。

 ネット、うろうろ。

《 渋谷駅、難所w 》 吉田戦車
  https://twitter.com/yojizen/status/1217637692755701761

《 由比の東海道線と国道1号にある旧防波堤。かつては鉄道際が海岸線だったのに、いまでは横に国道、更に横の海際と言うか海岸線上を通る東名高速。 所々切り込まれてるけど、古くの鉄路を守った石積防波堤が残ってるのはいいね。 》 あづさ2号
  https://twitter.com/adusa2gou/status/1217336064144076801

《 お金の話をすると汚いとか何とか言う人がいるけど、人に労力を使ってもらうなら、一番大事なのは、そこじゃないかな? 》 マキエマキ@自撮り熟女
  https://twitter.com/makiemaki50/status/1217673905797615616

《 さっき美術における本質主義について質問いただいたので、どうせだからここにも書きます。この場合の意味に限定すると、「芸術は美を追求するもの」 「子供らしい絵」「写真は真実を写すもの」「マンガは日本人の心」などが本質主義的な物言いの例です。終わり。 》 松下哲也
  https://twitter.com/pinetree1981/status/1217682123470991361

《 安倍政権が反対を無視して強行した消費増税で日本経済はズタズタ。増税による増収分を超える予算を注ぎ込んだ破天荒な「対策」は、6割の店舗が「効果なし」と 答え、前回増税時を上回る消費の激減で2兆円がドブに捨てられた。そして企業倒産は遂にリーマン以来の増加。これは政治が生み出した官製不況。 》 異邦人
  https://twitter.com/Narodovlastiye/status/1217395450262609920

《 中畑流万能川柳が粒揃いです。「森加計と同じ根っこの桜(はな)が咲く」「賭けますかカジノ議員の白黒に」「総理枠ないんだろうね聖火リレー」 「公文書木簡いまだ残ってる」「桜など見て見ぬ振りのNHK」「大塚の娘ヤマダに嫁入りし」「アフガンの英雄にこそ栄誉賞」まだまだあり、詳しくは毎日新聞で。 》  立川談四楼
  https://twitter.com/Dgoutokuji/status/1217658897210564608

《 思うんだが、自公政権を選挙で倒すにはどうすればいいかについての、評論家の感想とかじゃなくて、データを元にした「学問的研究」が必要なんじゃないだろうか。 しかし外部資金は取れないだろうから、大学の個人研究費を複数で持ち寄ってやるしかないかな。 》 森岡正博
  https://twitter.com/Sukuitohananika/status/1217663091036475392

《 テレ東が“大事件でもアニメ”の理由、公式説明に反響 》 ナリナリドットコム
  https://www.narinari.com/Nd/20200157961.html