『中村雄二郎対談集 対話的思考』四(閑人亭日録)

  松岡正剛との対話「 V  情報人文主義の行方」を読んだ。

《 松岡 相手がいて、相手と相互作用を起こさないと「意味」を発揮しないという物質、これは乗り物としては物質と呼んでいいけれども、そこに乗っているもの、 一言でいえば「意味」ということだと思いますが、この意味の働きは「情報」と呼ぶ以外にないと思うんです。しかも、それは相手次第である。
  中村 そうなんです。もともと意味というものは相互作用あるいは関係のなかで成り立つんです。 》 163頁

《 中村 今の話のなかで、とめるとか、とめた瞬間とかいうことがありましたね。とめるというのは、今どちらかというと、はやっていない。静止系じゃなくて力動系が もてはやされているけれど、実をいうと、とめたなかにかえって全体の相が浮かんでくるんですね。(中略)   松岡 そうですね。僕は、言語も文字も仮留めされているものだと思うんです。止観というやつですね。いずれにしても、情報というのはプロセスを持っていますから、 そのどの場面をとめても語れるものとしてとらえないといけないと思うんです。 》 173頁

《 中村 近代はオリジナリティー信仰の時代だったから、模倣のたぐいは全く否定された。 》 175頁

《 松岡 主語的に考えるよりも、関係的に考えるということです。 》 177頁

《 中村 ただし、関係そのものが優先するということを心の中ではみんなよくわかっている。というのも、誰だってみんな生きているのは関係のなかなんだから。 ところが、生きているのは関係であっても、それを理論化したり人に説明しようとするとき、みんな困ってしまった。それをあらわす言葉がなかったんですね。 》  177-178頁

《 松岡 何があるというのではなくて、そこから醸し出される、ある情報としか呼びようがない感覚……。
  中村 気配の感覚ですね。気配というのは現代の情報論や記号論への挑戦だと私も思っている。 》 179頁

《 松岡 これまで人間に残されているのはノンリニアだと思っていた、つまり、心というのは、表現しきってもしきっても残るノンリニアな部分だというのが、全思想史の 近代的結論だった。
  しかし、近未来的なことを考えれば、実はノンリニアというのは、表現されたなかにも生じるということがこれから起こってくるので、そこに新しい出発点があると 僕は思っているんです。 》 186頁

《 松岡 機械というのは、むしろ非実用と実用の両方を矛盾しながら抱えて、自己組織化を人間に引っ張られて遂げてきたというふうに見るべきで、既に廃棄された機械 そのものも闇を持っていたわけです。 》 189頁

《 中村 私は前からこう思っているんです。科学とか人間の知というのは光ですが、光が強くなればなるほど闇が深くなる。
  松岡 そうですね。
  中村 その対応をしっかり押さえていないと、さっき話に出た、瞬間のなかのトータルなものがつかまえられないんですね。その点では、今は闇が非常に深まっている 時代でしょう。 》 192頁

《 中村 さっき情報が薄まるという言い方をしたのもそのためですが、現代人は闇の問題を感じる能力とそれを扱う装置を失っているんじゃないですかね。
  松岡 そうですね。僕は、近代の優生学、社会ダーウィニズム進歩主義というか進歩史観、あのへんからそれを失い始めたように思うんです。
  中村 近代の強者の論理というべきものですね。 》 193頁

《 中村 そういってもいいですね。日本も本当は多くの闇を含んでいるのに、闇を大事にしない。というか、蓋をしたり、薄めてしまう。アメリカについては、普通は 闇なんて思わないけれど、次第に闇を抱えてきているところがある。 》 200頁

《 中村 順序とか段取りというのも、なんでもないように見えて、実はいろいろなファクターが絡み合っている。狭くて小さな問題じゃないですね。
  松岡 大きいですね。中村さんはリズムを重視されていましたね。リズムが本質なんですが、その直前では、段取り、順序、後先、契機、励起の順、こういう アフォーダンス的問題がこれからすごく大きなテーマになっていくんじゃないかと思うんです。だから、情報の序列をどのように運ぶかというだけで、実は大半が終わって いるのではないかと思いますね。
  中村 しかもその運び方、手順の選び方によって現実の見え方が全然変わるでしょう。
  松岡 変わります。 》 202頁

 これまた実に刺激的。続いて原広司との対話「 VII 建築のアルケオロジー」を読んだ。

 11日と12日に書いた村松茂さんの布地の絵画。奥さんが2013年8月に公開しているウェブサイトのものとは一点も重ならない。
  http://teketekeweb.yu-yake.com/shigecchi.html
 サイトの絵は回顧展で実物を見ている。彼女に自宅保管を勧めた作品と私が購入した作品は、それ以後の制作だろう。それ以後のほうが絵としてはるかにいいと思う。 当初は演奏ステージを飾る背景の幕を作る目的だったのが、晩年には絵そのものを描くという方へ向いた。私はそれらを現代絵画作品として評価する。いつかこの十点ほどを 展示公開したく思っている。それには広い会場が必要だが、それ以上に美術関係者の目に留まる場所が求められる。帯に短し襷に長し。

 ネット、うろうろ。

《 会田誠さん「美術は即戦力にはならない代わりに、作品が残れば自分の死後にでも延長戦を期待できる」。・・・芸術の力の一つは、この「延長戦」という 感覚があるところ。誰もが「その場が良ければ、あとはどうでも良い」でなく「延長戦」の感覚持ったら、きっと生き方変わる。 》 布施英利(ふせ ひでと)
  https://twitter.com/fusehideto/status/1229170097136160768

《 クリスティーズのオークショニストが見るべき美術品三十点を選んでいて長谷川等伯一休宗純、運慶らの作品の中に会田誠さんの紐育空爆之図を選んでいるの 趣があるな。 》 飯島モトハ
  https://twitter.com/mochiunagi/status/1228965348830900224

《 BBC World 22:20ニュース

  遂にトップニュースでダイヤモンドプリンセスでの失態と東京オリンピックを結びつけて激しく批判。

  もはや日本国内では水際防衛に失敗してウィルスが蔓延しているからクルーズ船の隔離は能力不足の上に無意味だと厳しく批判。 》 Hiroshi Makita Ph.D.
  https://twitter.com/BB45_Colorado/status/1229033872857284610

《 「本日この対策本部のもとに、第一線で活躍する感染症の専門家の方々を構成員とする専門家会議を設置し」って、今まで入れてなかったのかよ! 遅すぎるぜ。 米マスコミの声を聞いたか? ABCは「日本の港で第2の震源が作られた」NYT紙は「こうしてはいけないと、教科書に載る見本」と報じているんだぜ。 》 立川談四楼
  https://twitter.com/Dgoutokuji/status/1228893255619624960

《 コロナ対策本部の顔ぶれが絶望的な件 》 らぐなす
  https://twitter.com/Ragnaaas/status/1229029863433981954

《 「はやってはいるが流行の状況ではない」と? 》 Semimaru
  https://twitter.com/iSemimaru/status/1229325344252973061

《 なぜこれほど日本政府は無能なのか。 》 きゃろる(せんそうはいやよ)
  https://twitter.com/carolitoh/status/1229185380752035841

《 検事長の定年延長、これが許されるならあらゆる法律に関して、政府の勝手な解釈による法律破りが可能となってしまう。政府による事実上のクーデターと言っても おかしくない。違法閣議決定を撤回させねば日本は法治国家の資格を失う。 》 m TAKANO
  https://twitter.com/mt3678mt/status/1228935084121583616

《 すんごい事なってる!! 》 ぽこりん  https://twitter.com/pokorin_2019/status/1228558207104086017