『日本哲学の最前線』三(閑人亭日録)

 山口尚(しょう)『日本哲学の最前線』講談社現代新書2021年初版、「第四章 身体のローカル・ルールとコミュニケーションの生成──伊藤亜紗『手の倫理』」を読んだ。

《 仮に哲学一般が普遍性をめざす傾向をもつとすれば、伊藤は「別の仕方の」哲学を試みていると言える。 》 108頁

《 より分かりやすく言えば、全体を見通せない限られた視界の中で、迷いつつ自分の考える「ベスト」なものを選ぶしかない。人間のこうした現実的状況が伊藤にとっての 「倫理」の領域である。 》 125頁

《 逆から言えば、やっていることの意味が特定の誰かの意図に帰着されない、という活動が存在するということである。じっさい、互いに交じり合うやり取りの場合 (例えばふたりでふれ合うときや自分の身体と「対話」するとき)、生成のモードは避けられない。そしてその場合、特定のひとの意思に依存しない仕方で、事物の意味が 定まっていく。 》 134頁

 既読の『手の倫理』をおさらいする感じ。
 「第五章 しっくりいく表現を求めて迷うこと──古田一徹徹也『言葉の魂の哲学』」を読んだ。

《 古田によれば、《ひとは運に翻弄される存在なのだ》という認識は、私たちの倫理的思考を〈地に足のついたもの〉にする重要な基礎である。 》 140頁

《 その議論を踏まえて古田は、常套句を振り回すことの問題点を指摘し、彼の本の最終テーゼを提示する。それは《言葉の浅い理解へ落ち込まぬよう、むしろ言葉を めぐって悩むことが大事だ》というテーゼである。しっくりいく言葉づかいはこうした悩みの中で到来する。 》 144頁

《 言葉は、或る文脈において全面に立つ意味以外に、側面や背面その他の(関連した)意味をもつ──こうした諸相を多面的に展望するのが「立体的理解」である。 このタイプの理解には「深み」がある。というのもたんに一時的に表立っている意味を看取する以上の理解があるからだ。ひとが或る言葉に馴染んでいるとき、そのひとは その語をネットワークの中で捉えている。 》 152頁

《 このように〈しっくりいく表現をめぐって迷うこと〉は敢えて棘(いばら)の道を進むようなことだと言える。 》 159頁

《 すなわち、言葉のしっくりいく使用は、個々人の意図によって表現するというより、言葉の歴史への敬意のある暮らしの中でひとが言語的繊細さを大事にすることに おいて「生成」する。 》 163頁

 深くうなずく。

 「第六章 エゴイズムの乗り越えと愛する意思──苫野一徳『愛』」を読んだ。

《 制約の最中にありつつ制約を乗り越える実感──これが苫野の「自由」の概念である。 》 169頁

《 とはいえ愛はなぜこうした点で愛着や性欲と異なるのか。この問いへ苫野は、愛着や性欲は「情念」のカテゴリーに収まり切るが、愛はそれをはみ出す「理念的な」 性格をもつからだ、と答える。 》 178頁

《 自己犠牲的献身を生きようとすること。こうした意思がなくては(愛は理念として未来に置かれるので)真の愛を実践することはできない、と苫野は主張する。 》  188頁

 わかりやすい結論、のようだが、実生活では・・・と立ち止まって考えてしまう。
 「おわりに 自由のための不自由論」を読んだ。

《 本書は、二○一○年代のJ哲学の代表的な流れは「不自由論」として特徴づけられる、と主張する。 》 197頁

 山口尚(しょう)『日本哲学の最前線』講談社現代新書、読了。

 きょうも雨風の日々。
 午前四時 28.0℃
 午前十時 23.2℃
 正午   21.4℃
 午後五時 21.4℃
 逆じゃない。

 ネット、うろうろ。

《 コロナにボロ負けして終戦記念日を迎えて、まだパラリンピックをやるのか? 》 津原泰水(やすみ)
https://twitter.com/tsuharayasumi/status/1426636610976636930

《 「菅義偉首相、式辞で加害責任に触れず」って、こんなに卑劣な人物が首相だなんて、あたしは日本人の1人として本当に恥ずかしい。さすがはポツダム宣言も 読んだことがない安倍晋三の後継者だ。それともスピーチ原稿の加害責任について書かれた部分が糊でくっついていたとでも言い訳するのかな? 》 きっこ
https://twitter.com/kikko_no_blog/status/1426825749709742081

《 →菅総理の発言は、少し長くなると文意が全く成立していません。日本語の文法を正確に理解していないからです。加えて、すこし込み入った内容になると、 彼は相手の主張を全く理解できません。そして、問題を指摘されても、それすら理解できない。これらの特徴は、→続 》 南泰山@アジアの歴史が好き
https://twitter.com/Pekinno_okayu/status/1426473748559929347

《 金持ちは自分で私兵を雇うべきじゃないでしょうか。なんで望んだわけでもない五輪に全国から警察6万人も集められて、日本中失業者で溢れてるのに五輪関連企業は 利益10倍とか言ってるんですか 》 貴族
https://twitter.com/hasegawa_fusao/status/1426772551540232193

《 もっとも解りやすい例が、ホームレスを排除して鉢植えを並べたり、ドヤ街を再開発して地上げしていくプロセスで、緩衝材としてアート施設を導入していくこと。 これら「緑」や「アート」は、ともに非行政的かつ無主物的な、いわば「無害」なイメージの典型として乱用される。これは注意すべき点である。 》 中島 智
https://twitter.com/nakashima001/status/1426506126665781248

《 共的な資源は、共的なロジックで保護されなけばならないのだけれど、共的な資源を公的なロジックで評価してしまうと、それはたちまち公的な資源へと 収奪されてしまう。アートマネジメントでは、この点に慎重にならないと、アートという有史以前からの資源を、時の社会ロジックによって蕩尽してしまう。 》  中島 智
https://twitter.com/nakashima001/status/1426511094495911946

《 IQが高いとかクイズができるとか。所詮人が考えた問題を解くだけ。自分で問題を考える(生み出す)力が大事。 》 Koichi Kawakami, 川上浩一
https://twitter.com/koichi_kawakami/status/1426568030205579264

《 90年代から文部科学省がやってきたことって、60年代から農水省がやってきた減反政策の文教政策版だったのよ。知識、研究、教育、文化の減反政策ね、要するに。 農水省と農協が衰亡の道を歩んだ、これを30年遅れで繰り返しているのが文部省・文科省、国立大学なのよ。親父が百姓だったから分かるのよ。 》 斉藤 淳
https://twitter.com/junsaito0529/status/1425810490987409428

《 DaiGo、ひろゆき、堀江、プペル、どれもいやに「維新」っぽい雰囲気を感じるのは何故だろうと考えていたが、単にどちらもネオリベなだけじゃなくて 「真に評価すべき実績や能力はほとんどないのに、自分をスゴイ奴だと演出して信者を獲得する能力だけは異様に長けてる」という点が共通してるんだわ 》  つりがねむし
https://twitter.com/Tsurigane_mushi/status/1426421305134387210

《 彼らは実績がない“のに”評価されてるというよりは、実績がない“からこそ”「“効率的に”地位をつかんだ」と支持されてる面が強いのだろうな  だけどそんな人達が英雄視される社会、長期低落して傾いていくのも当然だわな そのフォロワー達は教祖様以上に中身のないハリボテ連中ばかりになるのだから 》  つりがねむし
https://twitter.com/Tsurigane_mushi/status/1426421350697082884

《 今朝札幌に到着した特急「オホーツク2号」のキハ183系特急気動車
  余りのボロさに辟易!
  一般人ならドン引きするレベル。
  特急列車は鉄道会社の「顔」。
  プライドを持って綺麗に整備して欲しいもの。
  これではまるで「幽霊列車」。 》 パーシー
https://twitter.com/percypercy77/status/1426168975927386122