実在への殺到』再び

 未明の最低気温が2.2度。寒〜。残暑があったかなかったかの今年、冬は足早にやってきたわ。コタツにもぐり、清水高志『実在への殺到』水声社2017年初版を 再び開く。千葉雅也『動きすぎてはいけない』を読んでいて、なぜか『実在への殺到』が気になった。

《 ──中心と、それをめぐって形成される複数の周縁的な要素の関係は、なんらかの突出したヒエラルキー的、一方的に固定化されるものではあってはならない のだ。 》 「第1章 ヴィヴェイロス論」 30頁

 こんなことをしみじみ実感するこの頃。

《 結節点としての中心は、複数の周縁のものたちと相互的、互換的な関係にあり、唯一の出発点といったものはない。出発点や中心はつねに移動可能で、 分散しており、多数的で、それらが固定されることは避けられている。そこで働いているのは、やはり脱─中心的な相互牽制のシステムである。そしてこうした 状況のなかで、周縁のものたちとの間で織りなされる関係は、どこまでも複雑なものとなっていく。また逆に、そうした複雑な関係を織り込んだ結節点も、ますます 具体的で多様なものとなっていくのであり、より複雑な関係の交差点であるという意味での《中心》になっていくのである。 》 「第1章 ヴィヴェイロス論」  31頁

《 このように非綜合の状態において、複数のモノ(Object)が持っている関係をそのまま考えることは、綜合するものとしての人間精神とその残余としてのモノ というニ項性の構造そのものを崩してしまう。このとき重要なのは、複数要素としての個を、それが置かれた関係のうちに回収しきってはいけない、ということだ。  》 「第2章 交差交換と人間」 38頁

《 《道具》としてのモノという立場から帰結するのは、こうした離散的、かつ非綜合的な世界像である。そこではモノとソフトウェアは、それぞれを折り返し点と しながら、互いにどこまでも多極化していく。そしてそれを促進させ、モノとソフトウェアをどちらかに偏することなく結びつけることが人間には求められ、しかも その働きのなかで人間そのものも変容し、つねに再定義される。《道具》としての人間は、もはや綜合するものではない。もっとも普遍的な「秤」であり、複数の 出口を持つ合流点としてのインターチェンジである。 》 「第2章 交差交換と人間」 50頁

 「第3章 鍵束と宇宙──ウィリアム・ジェイムズをめぐって」「第4章 メイヤスーと思弁的実在論」は、やはり難解。二回読んだくらいでは無理。というか、 哲学書をよく読んでいなければ理解できん。

《  《一と多》、《主体と対象》の二項対立、それらのペアどうしの交差のヴァリエーションをもとに、デスコラは四類型を見出したが、(中略)四種類のある 様態からある様態への推移、それらの組み替えや融合を辿ることによって、彼は創造行為(ポイエシス)というものの契機を探ろうとしている。そのような推移や 跳躍を伴ってこそ、自然科学や芸術における根本的な創造行為(ポイエシス)は果たされるのである。
  こうした分析は、それがさまざまな文人や芸術家、技術者に思いもかけぬ形で適用されるにつれ、多くの興味深い論点を導き出してゆく。 》 「第5章  幹-形而上学について」 115頁

《 ジェイムズが語る純粋経験は、主客問題における「幹」(Souche)としての機能を理想的に果たすものであるかに見える。それは主客未分の状態であり、場合に 応じて主体、対象という役割を与えられる。 》 「第5章 幹-形而上学について」 118頁

 ここから連想が飛躍する。また引用するが、白砂勝敏さんの木彫椅子だ。樹「幹」から彫り出された椅子。
 http://shirasuna-k.com/gallery-2/wood-sculptures-chair/

 ネット、いろいろ。

《 外の本が大量のアイスノンになっている…。 》 古書現世
 https://twitter.com/wamezo/status/932885526553620480

《 晴れた冬の朝にコルトレーンのTransitionを聴くのはまた格別だ 》 北川潔
 https://twitter.com/kiyoshikitagawa/status/932990060600922112

 『 Transition 』は格別のレコードだ。しかし、朝、聴いたことはない。

《 今日、引越しのバイトを長くやってきてたやつが言ってた「ドラム式洗濯機が洗面所に入らなくてその場で夫婦喧嘩になることが多い」って話は もっと世間に広めるべきだと思う。 》 pato
 https://twitter.com/pato_numeri/status/932264023659225090

 新婚の知人夫婦は、アパートに引っ越す際、玄関に入る冷蔵庫を購入したが、大家さんが気を利かせて下駄箱を設置してくれたため、入らない……。

《  あきた北空港(大館能代
  岩国錦帯橋空港
  えらぶゆりの島空港
  おいしい庄内空港
  隠岐世界ジオパーク空港
  オホーツク紋別空港
  高知龍馬空港
  コスモポート種子島
  五島つばき空港(福江)
  徳之島子宝空港
  のと里山空港
  マリンエア(神戸)
  宮崎ブーゲンビリア空港 》 capt.Slump
 https://twitter.com/capitanissimo/status/932880068061249536

《 人生は後戻りできない片道切符の旅 》 路地徘徊人
 https://twitter.com/C_Kyoro/status/932891298196996096

 宮脇俊三最長片道切符の旅』は、北海道広尾駅から鹿児島県枕崎駅まで、1978年、34日間の旅。試みたくてももう駅がない。

《 喫茶店ナポリタンを食べ終わったあとにパルメザンチーズが供されてるのに気づいたときの悲しい気持ち。 》 喫茶店のマッチ
https://twitter.com/matchi_cafe/status/932850384145563649