『新訳 ステファヌ・マラルメ詩集』(閑人亭日録)

 柏倉康夫 訳『新訳 ステファヌ・マラルメ詩集』柏倉康夫2017年6月30日発行、限定百部第66番を再読。前回同様、これは何だろう、という読後感。うーむ。 シャルル・ボードレールランボー、マルドロールらは面白かったが。今回気になったのは「扇 (マラルメ夫人の)」。柏倉康夫の訳の後に西脇順三郎の訳をつける。

《  言葉のためであるかのように
   空に向って一度羽ばたくだけで
   未来の詩句は解き放たれる
   いとも貴いその住処から

   翼はごくひそやかな運び手
   この扇がもしそれなら
   同じものを君のうしろで
   鏡か何かがきらめかせた

   澄んだ面(そこには粒のようになった
   目に見えぬわずかな灰が
   また降り積もるだろう
   ただそれが私を悲しませる)

   いつも扇はこうして出現する
   たゆみない君の手のうちに  》

 西脇順三郎 訳。

《  言葉になろうとするかのように
   空をうつ羽ばたきばかりの
   未来の詩がその極く貴い
   住家からのがれ出る

   低くとぶその先発者、この扇が
   もし君の後で何か鏡を
   光らせたものと全く
   同じものであるならば

   透明な鏡(そこで見えない少しの
   灰がどの粒も追われて
   また落ちようとする
   これが私の唯一の苦しみだ)

   いつもそんな風に君の忙しい手の中に
   扇が現れるように。  》

 西脇順三郎の訳は、『世界詩人全集 10 マラルメ ヴァレリー集』新潮社1969年8月20日発行から。注釈で西脇は書いている。

《 鏡に写るマラルメ夫人の扇で、マラルメの詩作の経路を心理的に象徴している。四十代の終り頃の作。円熟したマラルメの作品。 》 87頁

 興味深いモノ(謎)に突き当たった。”また降り積もるだろう” 柏倉康夫。”また落ちようとする” 西脇順三郎

 ネット、うろうろ。

《 健康さは雑さを含意する。清潔化によって健康が増進しているかに見えるのはまやかしで、それは健康ではなく、「神経症的に満足のいく整った状態」であり、 むしろ病的状態である。世の中全体をそうしていこうというのが今日的「正義」だと言っても過言ではない。 》 千葉雅也
https://twitter.com/masayachiba/status/1501776922971623424

《 長期的な国力の向上を考えたら、学生たちにはじゃんじゃん財政的に支援して、好きなことをやらせておくのが一番費用対効果がいいと思います。放っておくと 勝手なことをしますから管理コストは嵩みますが長期的には「黒字」になります。その算盤が弾けない人たちが政策を決定している。 》 内田樹
https://twitter.com/levinassien/status/1501710807603703812

《 思えば、コロナ発生で安倍政権がまずやろうとしたのが国民に「和牛商品券」を配ること(背景には集票食肉業界への利益還元)。で、ウクライナ侵攻で自民党政権が やろうとしてるのが「核共有」。要するに、どんな危機でさえ、それを自分たちの野望を実現させる機会として捉えることしか出来ないのだ。 》 さよなら昨日の私
https://twitter.com/SaYoNaRaKiNo/status/1501465231692025860

《 最も優先すべきもの、それは命、と定めると、命を脅かす(おそれのある)強者の要求へどこまでも譲歩することになる 生きていられればそれでいい、 なら命を脅かしたあと「平和が一番」と吹き込めばカンタンに君を操れる
  顔色を読ませ、忖度を促せる
  これはありとあらゆる場所で使われる権力掌握術です 》 ヒサミチ
https://twitter.com/hisamichi/status/1501733338612383744

《 世界人口の71%が「独裁に分類される国に住む」という衝撃
  https://news.yahoo.co.jp/byline/nishiokashoji/20220308-00285498
  ロシア非難決議に反対or棄権した国を全部足すと約42億人ぐらい(ロシア、中国、インドだけでも30億人)。
  西側は少子化も進み、今後もどんどん差が開いていく。仮に経済圏が分断された場合、より苦しむのはどちらか… 》 Aoba
https://twitter.com/hongo/status/1501418948826664962