『現代美術逸脱史』再読 六(閑人亭日録)

 千葉成夫『現代美術逸脱史 1945~1985』晶文社一九八六年三月二十日初版 一九八九年五月三十日四刷、「第四章 一九七○年代」を再読。

《 そして、実作者にとって制作概念の喪失とはそのまま美術じたいの喪失を意味するなら、そこで直面していたのは、とりもなおさず「美術」そのものの喪失にほかならない。西欧的な意味での近代美術、その基盤のうえにたって展開されてきた近代日本美術における美術そのものの、崩壊であり喪失であったのではなかろうか。(引用者・略)にもかかわらず、というよりもそれだからこそ、七○年代初頭に美術の最深部で起ったこの喪失は、終焉幻想にとらわれずに理解される必要がある。つまりそれは、近代日本が否応なくかかえこんでしまってきていた美術概念、錯誤にみち矛盾にみち基盤すらはっきりはしていなかった美術概念そのものの幻想性の洞察と、そこからの脱却を意味していた。(引用者・略)しかし、まったく不思議なことに、「美共闘」を除くと、当時このことはほとんどまったく洞察されていた形跡がない。だが無意識のレヴェルでは、多くの実作者たちによって、程度の差はあれ、感受されていたにちがいない。そして、誰がなんといおうと、わたしは評論家や凡百の美術家よりも、少数ではあってもすぐれた美術家の、鋭い直観力と洞察力のほうを信じている。 》 177頁上段~下段

 「具体」「ハイ・レッド・センター」から「もの派」「美共闘」へと、美術の運動グループの盛衰が語られている。が、それ以外の美術家に言及されていない。そこまでは手を広げられないということのようだ。よってかどうか知らぬが、大阪万博にかかわる美術家たちのことには一言も触れていない。「現代美術」という閉域での出来事が語られているのみ。一昨日4日(土)に紹介した椹木野衣の一文が思い起こされる。千葉成夫『現代美術逸脱史 1945~1985』再読終了。

 ネット、うろうろ。

《 新規に開発してる地区で建売住宅の敷地内にこんなモニュメントが設置されてたけど縄文リスペクトな人しか喜ばん気がする 》 階段巡りツイッター
https://twitter.com/kaidanmeguri/status/1622359617643884546

《 この10年来、法人税上げたら企業が出て行くだとか、同性婚を認めたら人が出て行くだとか、あらゆる類いの「それやったら日本から人が出て行く」言説があったが、実体は、自公政権の経済政策の失敗から、給料が安すぎ、将来が見込めず、海外への人口流出が始まっている。 》 平野啓一郎
https://twitter.com/hiranok/status/1622015944330743812

《 「秘書官室もみんな反対する」の事実関係を確認しなければならない。もしそうなら秘書官全員を更迭すべきだ。

  そのためには、岸田総理の「家族観や価値観、社会が変わってしまう」という(差別主義の)答弁が、秘書官室が作成した答弁書によるものかどうかを確認することも重要だ。 》 小西ひろゆき参議院議員
https://twitter.com/konishihiroyuki/status/1621714504810901504

《 私は司会なのであまり発言しなかったが、一言だけ、次のように申し上げた。戦後政治学は戦争で死んだ学徒兵の無念を背負って始まった。なぜあの戦争でたくさんの人を死なせたかを考えることが出発点だ。その意味の戦後政治学を終わらせてはならない。 》 山口二郎
https://twitter.com/260yamaguchi/status/1622434675368280064?cxt=HHwWgIDSibjvhYQtAAAA