正月二日(閑人亭日録)

 元日とはえらく違う、雨降りしきる昏い正月二日。地震被災地を憂う。今は憂うしかない。それにしても、北陸といいパレスチナウクライナといい・・・。
 『日本名畫百選・下』審美書院 明治三十九(1906)十月二十五日發行 編輯者東京美術學校 印刷兼發行者 審美書院を開く。「第八十五圖 伊藤若冲『群鶏圖』」多色摺。が、絵は違う。折込の紙片から。

《 第八十五圖は製版印刷の都合に依り、群鶏圖に代ふるに雙鶏圖を以てせり、(引用者・略)看者請ふ、説明の齟齬を咎むることの勿かれ。 》

 説明後半。

《 若冲の畫風概して本圖のごとく、寫生にして寫生に非ず。自然を本とし、之を理想化して装飾に富ましめ、宛然一種の文様を成せり。惜しむらくは従来之を紹ぐ者なくして、光琳の如く以て一流を為すに至らず。光琳は寧ろ花草を主とし、若冲は多く動物を取り、且筆情、彩調を異にして畫趣同じからずと雖も、誠に装飾畫大手筆の好一対とす。 》

 見事な解説だ。尾形光琳は名声を途切れずに得ていたのに、伊藤若冲は半世紀以上も歴史の底に埋もれていた。昨日も記したが、その事情は何なんだろう。
 夕方の羽田空港の大火災事故。何なんだろう。