『原色 日本の美術7 仏画』(閑人亭日録)

 『原色 日本の美術7 仏画小学館 昭和44年11月20日初版、昭和46年4月20日三版が古本屋から届く。『原色 日本の美術』小学館全20冊のうち『7 仏画』『14 宗達光琳』『18 南画と写生画』の必要な三冊を入手。この三冊の原色図版と、国華社、審美書院の美術本に掲載の複製多色摺木版画とを並置して比較が楽しめる。なぜ1970年前後の美術本か。1970年頃、カラー図版(多色刷り印刷)のアナログ印刷技術が円熟していたと推測するから。その美術全集に「原色」とうたっているから。映画では「白黒(モノクロ)」映画から「パートカラー」そして「総天然色」へ。テレビも「白黒」から「カラー」へ。出版業界で「原色」という標語は珍しいのでは。今では「赤、青、黄色の三色が原色です」ということになるが、1970年頃、小学館が打ち出した「原色」は、実物そっくりに再現された印刷物という意味合いで使っただろうと思われる。今でいうキャッチ・コピーだ。高度成長経済真っ只中、重厚豪華な美術全集は、応接間の調度品にぴったりだった。どうだい、オレ様は美意識、知識ともにあるぜい、と見栄を張る。が、本は殆ど開かれもしない。・・・それを遥かに凌駕するのが、審美書院の豪華美術本。これは調度品というより家宝と言えるものだろう。けれども、『原色 日本の美術』同様、古本値は、発売時の価格からはウソ!みたいな格安なお値段。だから私なんぞにも手が出るのだが。しかし、調度品と家宝とでは雲泥の差があるなあ。