アーティスト~作家(閑人亭日録)

 朝のNHKテレビで横浜黄金町の若手アーティストを何人か紹介していた。ここから何人が独り立ちするか、と語られた。制作品をちらっと見た限りでは、ふうんで終わった。最近は自称であれ、他称であれ、アーティストを言えばかっこいい、さしさわりがないという風潮。歳のせいか、なんか違和感がある。美術の世界は厳しい。生易しい業種ではない。制作品が売れるために誰もが四苦八苦している、とは限らない。伝統工芸品などは、まず伝統技術を習得する。絵画ならばデッサンを習得する。基礎技術を習得した後、作家への道を試みる。公募展で受賞しても作品が売れず、自称アーティストで終わる人のなんと多いことか。そしてほんの一握りの作家が、美術史に名を遺す。その美術史も、書かれた時代によって外される作家、忘れられる作家がいる。生前、美術界では知られた作家が、没後急速に忘れられる事例にことかかない。例えば木版画絵師の小原古邨。古くは伊藤若冲河鍋暁斎。この三人は近年再発見、再評価されたが。

 午後、彼女の勧めでスポーツ用品店で渋い青緑のデイ・バッグを購入。両手が自由に使えて重心が安定する。老人は無理しない。ショルダー・バッグよ、さようなら。