現役作家(閑人亭日録)

 現在、多摩美術大学の教授でリトグラフ作家の佐竹邦子さん。1997年春、多摩美術大学院生卒業制作展に遭遇。さほど広くないギャラリーで注目したリトグラフ作品に「これ、いいな!」と感想を発したら、そばにいた女性が「私です」と声を上げた。それが佐竹さんとの出会いだった。翌年だったか初個展で小品を購入。
 http://web.thn.jp/kbi/satake.htm
 それからK美術館で企画展(2006年)を催して彼女を応援。
 http://web.thn.jp/kbi/satake3.htm
 木口木版画の奥野淑子(きよこ)さん。
 http://web.thn.jp/kbi/okuno.htm
 銀座の貸画廊からの案内葉書を見て、これは行かねば、と初日に行った。正午の開館時間から三十分ほどして奥野さん到着。寝坊した、と。まあまあ。若いねえ。一点を購入。後から来訪した年配の紳士は「美術雑誌の広告で見た」「いちばん高いものを買う」と仰る。凄いね。これからどうなるかわからないが、と話す。コレクターの鑑と、感服。
 それから奥野さんの木版画を三島の知人たちに宣伝して何点かを買ってもらい、代金をそっくり彼女に贈った。K美術館へ来館されたこともあった。
 某版画雑誌の編集長が、小原古邨作品集に載せるために写真撮影に自宅へ来た。撮影を終え一息ついて、奥野淑子さんのA4版ほどの大きさの木口木版画をお見せした。彼は仰天。「電話してください」奥野さんへつないだ。まさかご存じないとは。それに驚いた。その作品は、私の勧めに応じて日本版画協会展に応募し、落選したもの。展覧会では彼女の名前が間違って表記されていたので事務局へ申し出た。結局、審査員に作品を見極める眼力がないのだ。が、当時の結論。美術団体、美術ジャーナリズムの世界は・・・いやいや書かないでおく。桑原桑原。ネットの時代、類火がどこに及ぶか知れたもんじゃない。それはさておき。私は、奥野淑子さんの木口木版画は戦後最高だと思う。なぜ話題にならないのかな。

 近所の写真店の人から富士フィルムの「あなたが主役の写真展」へ今年も参加を、と頼まれる。今年は白砂勝敏さんの木彫椅子にする。
 https://shirasuna-k.com/gallery-2/wood-sculptures-chair/