「密室における孤独な作業」(閑人亭日録)

 『山崎方代全歌集』全歌集後記で玉城徹は書いている。

《 方代は、きわめて鋭敏な方法意識をもった、その点で、もっとも現代的な専門作者の一人であったと言ってよい。彼の制作は、それ故に、密室における孤独な作業であった。 》 498-499頁

このくだりは埴谷雄高に通じる。山崎方代と埴谷雄高では発表作品は、小説と短歌という文学形式が正反対といってよいし、その表現内容も両極端と言える。

《 それは、衰弱した自己意識が、小さな自分の空間に鎖じこもるといった閉塞感とは無縁である。 》 499頁

 未完の長編小説『死霊』の読後に『山崎方代全歌集』を繙くことで、『死霊』の呪縛(?)からの開放を無意識に求めていたようだ。
 「密室における孤独な作業」から北一明を想起。六年ほど前の拙文「備忘録・北一明」。
 https://k-bijutukan.hatenablog.com/entry/20180124/p1