『記憶と芸術』(閑人亭日録)

 中村高朗・虎岩直子 編著『記憶と芸術 ラビリントスの谺』法政大学出版局2024年3月4日初版第1刷発行を近くの本屋で受けとる。
 https://www.h-up.com/books/isbn978-4-588-41039-0.html
 虎岩直子「まえがき」を読む。

《 「記憶と歴史」が学問領域として注目されるようになってから久しい。リオタールが唱えた「大きな物語」の終焉後、従来の権威的歴史学に代わって「記憶論」が注目されて、メモや日記、手紙、工芸品、建築、芸術作品などが、それらが作りだされた時代の承認として検証されている。「アートは記憶を伝える」というコピーやそれに類似するタイトルのもとに開催される美術展が多々開かれている。 》 4頁

《 読者・鑑賞者は、織られた美しい絨毯のような作品を読み解いていくとき、作品が生成された時代の記憶を織り目から解(と)きほぐし、読者自身の時代と個人の記憶を読解・鑑賞に織り込んでいく。解(ほど)きそして織り込むときに出現する、作品の「内なる調和」あるいは均衡のスリリングな検証に、『記憶と芸術』の読者は本編を彩るエッセイの中で立ち合うことになる。 》 8頁

 さて、明日からの読書が楽しみ。