本棚からやっと見つけた本、谷川俊太郎・編『日本のライト・ヴァース I 煖櫨棚上陳列品一覧』書肆山田(発行日の記載はなく、谷川俊太郎の「あとがき」に「一九八〇年十一月」)を再読。読みたかった天野忠「虫」をやっと読む。
《 虫
病気が癒ってしまい
すっきりした腹の上に
新しい晒(さら)しをくるくると巻いて
せったをはいて
看護婦さんに仁義をきって
あばよッ
と出て行ったが
裏門から入って来た霊柩車に
轢かれて死んだ
萬(よろず)幸多郎……
押さえると
直ぐ死ぬ虫のように
彼は生きた。 》
谷川俊太郎「あとがき」の書き出し。
《 東京の神楽坂に「軽い心」というキャバレかなんかがあって、近くを通るときいつもぼくは感心してそのネオン・サインを見上げるのだが、英米詩で言う<ライト・ヴァース>にうまい訳語のみつからないのは残念だ。<軽い詩>なんて言ってみても、どうもぴったりこない。 》 94頁
昨日話題の東君平の詩もライト・ヴァースと言えそう。本の帯のキャッチ・コピー。
《 心と知性が指さきをからめポエジーのゆるやかな波間にたわむれる── 》
詩人の藤富保男に「軽業師」ということばがあったな。小体な薄い堅牢本に相応しい。
ネットの見聞
《 実は酔ってなかった「マタタビ反応」 ネコの生態を研究する岩手大農学部教授・宮崎雅雄さん<ブレークスルー 2024> 》 東京新聞
https://www.tokyo-np.co.jp/article/319770