三軒目にはいいこと

 昨日は気持ちの座りがよろしくないので、再び自転車を出してブックオフ函南店へ行く。正解。中野美代子西遊記の秘密」福武書店1984年、林屋辰三郎「日本史論聚」岩波書店1988年函帯付から「一 日本文化史」「八 芸術の周辺」、安田登「白のフォークロア平凡社ライブラリー1994年、林望東京珍景録新潮文庫1999年、以上総て初版、計525円。
 「日本史論聚」は布装。今読んでいる井上靖「化石」は山鳩色の布装で、手触りが気持ちよい。これも布装が目にも気持ちよい。「東京珍景録」は知人に贈ってしまったので買い直し。近所の古本屋には帯付で250円だけど、見送っていた。やっと105円を見つけた。昨夜、ついつい読み耽ってしまう。愉快な本だけど切なさが満ちてきた。

 その五冊の本をバッグに詰めて気持ちよく帰ってくると、自宅前の神社に若い十数人の男女。自転車を止めると引率の日本大学国際関係学部の金谷教授から声をかけられる。ゼミの新入生にグラウンドワーク三島の事業地を案内しているところ。自転車を放置して参加。源兵衛川を下り、水の苑緑地〜梅花藻の里〜腰切不動を巡る。金谷教授が概略を話し、私がいきさつなどを説明する。休憩時間に金谷教授にバッグから「日本史論聚 一」を取り出して見せる。教授、ページを開いてしげしげと眺め、「論聚」八巻全部を買っても八百円…… と呟く。そうなのですよ。午後七時帰宅。
 一昨日は早稲田大学の学生、昨日は日本大学の学生を相手。楽しいわ。昨日の日録とはえらい違いだ。

 きょうも井上靖「化石」を読み継ぐ。
「一年先のことを考えるのは憂鬱だったが、百年先のことになると、なんの屈託もなかった。」258頁
 来年の今頃のことを考えると頭が痛い。百年先にK美術館の収蔵品(あるいはだったもの)がどのように評価されるか、楽しみだ。あるいはとうに忘れられているかも。ま、そんなところだろうなあ。