俳句のオノマトペ

 俳句にはオノマトペがたくさん使われている。

  土筆物言はずすんすんとのびたり  夏目漱石

  樽柿をへろへろ喰ひぬ矢継早  松根東洋城

  木がらしに恋の黒猫眼ぎらぎら  松瀬青々

  ひゆつひゆつとひゆつひゆつと夜の空を鴨  高野素十

  さくさくと雹をすくうて笑ひけり  臼田亜浪

  かろがろと帰る葬具の寒さかな  渡辺水巴

  ほとほととくれゆく雪の夕かな  久保田万太郎

  雪国の日はあはあはし湖舟ゆく  飯田蛇笏

  残雪やほろほろとんで田面鳥(たのもどり) 原石鼎

  貝こきと噛めば朧(おぼろ)の安房の国  飯田龍太

  鳥わたるこきこきこきと罐切れば  中村草田男

 最後の句、つい読み替えてしまう。

  鳥わたるコキュコキュコキュと罐切れば

 ブックオフ長泉店で二冊。佐藤亜紀「戦争の法」新潮文庫1996年初版、「このミステリーがすごい! ’ 98年版」宝島社1997年初版、計210円。