俳句のオノマトペ・続き

 俳句のオノマトペはうんざりするほどある。で、少し。

  年の瀬の灯ぺちゃくちゃの六区かな  阿波野青畝

  がんがんと鉄筋のびる師走かな  高柳重信

  へろへろとワンタンすするクリスマス  秋元不死男

  石の家にぼろんとごつんと冬がきて  高屋窓秋

  水枕ガバリと寒い海がある  西東三鬼

  じゃぶじゃぶと水に突込む春霰  岸田稚魚

  老梅のじりじりつぼむ谷間かな  渡辺白泉

  べたべたに田も菜の花も照りみだる  水原秋櫻子

  きちきちといはねばとべぬあはれなり  富安風生

  チチポポと鼓打たうよ花月夜  松本たかし

  麻衣がわりがわりと琉球女  篠原鳳作

  さびさびとステテコくはへ昼狐  加藤郁乎

  沈々とチンチンと来るあをじかな  安東次男

  りんりんと木の葉の箴言卒業期  齋藤慎爾

  ほろほろと生きる九月の甘納豆  坪内稔典