休館日

 昨日の毎日新聞よしもとばなな「彼女について」文藝春秋への三浦雅士評が興味深い。

村上春樹の小説が欧米でよく読まれるのは、ほんとうはこの世とあの世の関係を描いているからだ。よしもとばなな小川洋子の小説もそうだ。なぜ欧米か。欧米では天国も地獄も力を失ったからだ。もはやイメージとして思い描くことができなくなったからである。日本の小説家たちは彼らに、彼岸がすぐそばにあること、いや、人間は彼岸と此岸を往還しながら生きていることを教えた。欠落を埋めたのである。」

「かつて、谷川俊太郎が『やさしさを定義してください』という問いを考えた。岩田宏の答えは『黙ってそばに居てあげること』だった。谷川俊太郎は感嘆した。」

 後者のやさしさの定義には深く頷く想い出がある。

 ブックオフ長泉店で二冊。山田正紀「見えない風景」出版芸術社1994年初版帯付、米原万里「真昼の星空」中央公論新社2003年初版帯付、計210円。米原万里もまたやさしい人だったようだ。