揺れる夜桜

 昨晩は三嶋大社の夜桜を観に行く。まだ五分咲きくらい。無風なのに僅かに揺れるたわわな花の細枝。凄艶にして優雅というか、和風そのものだ。

 今回の企画展のお題は「これが版画? 息を呑むとびっきりの木版画展」。来館者は一様に「これが木版画?」といぶかる。「ホントに木版画です」と返事するしかない。午後、三島テレビ放送の取材。「木版画ですか?」とカメラマン氏。いぶかるほどに精緻。和の極み。

 狐「野蛮な図書目録」洋泉社1996年から。

「『常識的』というより明哲なのである。『現実的』というより聡明なのである。」182頁

「小説も、思想も、批評も、こぞって『人間一般』に向かおうとする昨今であればこそ、この小さな本に露呈した『一人の人間』の切実なおもしろさを特記したい。」186頁

「紹介でもなけれれば書評でもない。しかし詩人のパーソナルなはずの読み方は、実はだれでも共有できるパブリックな読み方を提供している。とすれば、それはぐるっと回って、みごとな紹介であり、書評であるともいえるだろう。」213頁

「臨終の床で容態を尋ねられ、英国の女流評論家はこう言った。『私は死にそうなだけ』。」38頁

 ブックオフ長泉店で二冊。島田荘司「確率 2/2 の死」南雲堂1995年初版、川本三郎「君美(うる)わしく」文春文庫 2000年初版、計210円。