途上にて

 今朝は昨日ほどではないが強い風。昨日触れたみなみらんぼう「途上にて」を昨夜聴こうと思っていて、ポルトガルのFADOを聴いてそのまま床に就いてしまった。しまったなあ。これはシングル盤とCDアルバム盤と持っているけど、違う録音で、シングル盤のほうが気に入っている。鬱々と悩んでいた二十代の後半、これを聴いては崖っぷちから戻ってきた。この歌詞のような心境(「過ぎ去るものは過ぎ去ればいい 流れるものは流れてゆけ」ほか)にいつなれるだろう、と遠くを仰いだ。あれから三十年、未だにその心境からは遠い。私の人生、いつまでも途上。ずっと途上なのが野間宏「青年の環」。今は最終第五巻本文670頁の半分を越えたところ。ふう。少しずつ読んでゆけば途上はいつかは登頂に。富士登山みたいだな。そういえば富士山には登ったことがない。これでは途上とも言えないな。

 平岡正明(ひらおか・まさあき)が亡くなった。十代末に出合ってしまった、ジャズ論の見事な切り口の新作にはもう出合えないのか。最期まで途上だった。合掌。……合唱コンクールを手がけている方が来館。