運動終了

 佐々木丸美復刊運動が終了。運動主宰者たちが味戸さんの絵を見に来館されたこともあった。有終の美。感慨深い。K美術館に有終の美はあるか?ワカラナイ。まあ、資金が底をつくまで続けるつもり(って、まだカネあるの?)。

 小岸昭「スペインを追われたユダヤ人」ちくま学芸文庫を読了。じつに興味深い著作だ。

≪私の問題意識は、もっぱら離散ユダヤ人に向けられていた。この数年間、私はカフカの作品やショーレムカバラ論を読みながら、その背後にある追放と離散の問題を、もっと根源的に理解したいという気持ちが、高まっていた。≫「後書きにかえて」

 スペイン系ユダヤ人=セファルディの本質が根源的に追求されている。それはまたヨーロッパの隠された歴史を露にし、既成のヨーロッパ像ががらがらと崩れる。トーマス・マンの「トニオ・クレーガー」について。

≪ここにおいて彼は、表向きの同調と内的反抗を生の第一与件としたマラーノの意識を、市民気質と芸術家気質の相克対立という現代的な意識の問題に先鋭化している。≫256頁

 という分析には脱帽。マラーノ(=豚)とは、23日に書いたように、セファルディへの蔑称。

 ブックオフ長泉店で二冊。荒俣宏「アラマタ図像館2 解剖」小学館文庫1999年初版、樋口有介「刺青(タトゥー)白書」創元推理文庫2007年初版、計210円。