本年最終日

 きょうで美術館最終日。坪内祐三新書百冊新潮新書2003年を読んだ。以下メモ。

≪素晴らしくドライブ感のある文章だ。碩学だからこそ描ける一筆書き。≫14頁

≪やはり、優れた本は再読がきくし、本を読むには年齢も必要だ。≫20頁

≪今の私は「人生九十年」計画で生きている。≫52頁

≪例えば、「言葉尻をとられるようにしか言葉を使えないとしたらそのこと自身が致命的ではないですか」という一見論理的なようで自らが言葉で何かを正確に表現することの苦労を知ってはいない言葉使いに不快感をおぼえるが、≫56頁

長田弘「言葉はわたしたちの世界を変えない。だが、世界をみるわたしたち自身のみかた、世界にあるわたしたち自身のありかたを変えることはできる。言葉はわたしたち自身の、世界へかかわるかかわりかたにほかならないからだ。」≫ 99頁

≪カタログに載っている一見断片的な知が、幾つもの選択によってそれをつなぎ合わせて行くと、ある時一つの大きな線や像として浮かび上がってくる。≫133頁

山口昌男中村雄二郎阿部謹也網野善彦という名前を並べてみると、確かに、その頃、知の変動期、新しい知がやって来たという感じがする。≫139頁

 こういう読書案内の本を読む愉しみの一つに「この本は持っている、この本は探したい。なぜあの本が紹介されていないんだ」と勝手な一人会話がある。「本編の最後の一冊にご登場願おう」と取り出されたのは、脇村義太郎「東西書肆街考」岩波新書1979年。これはネットで評判だったので、初版を古本屋で百円で購入している。

≪この岩波新書黄版87番は、私の大好きな新書本だ。≫222頁