秋を運ぶ雨

 未明から朝にかけて雨らしい雨。今朝はぐっと涼しく。気持ちがコロッと変わる。変わらぬは……。

 橋本治『人はなぜ「美しい」がわかるのか』ちくま新書の続き。

≪「孤独」は「個の自覚」の別名です。「孤独」を存在させなかった前近代の社会は、「個の自覚」をあまり必要としませんでした。そんなものより、「制度社会」というシステムに従うことの方が重要でした。制度は個を不在にする。≫255頁

≪つまり、「孤独」は「個の自覚」を必要としない制度社会とは対立するものなのです。だから、「孤独」を選択してしまった近代人は、自ずと「新しいルート」を拓かなければならなくなりました。「孤独」は、前近代の制度社会へ向かうものではなく、近代の非制度社会へ向かうものだからです。≫255頁

≪「自立」は、近代が発見した、「孤独」の新たなる後継者です。「自立」に「孤独」はつきものです。そして、「自立」は本来、「孤独」の以前にあります。「孤独」とは、「要請された自立」の別名でしかないからです。スタート地点に「自立」があり、その後に、プロセスとしての「孤独」がある。≫257-258頁

≪「自立」は、「近代の装いをまとった前近代的制度社会」を目指しません。目指すものは、「近代の非制度社会」とか「脱制度社会」という、まだ存在しないものです。「存在しないから分からない」と言って、その方向を捨てることはできません。その方向を捨ててしまうと、前近代の制度社会へ逆戻りです。≫257頁

≪「個の中に社会建設の方向性はある──あらねばならない」と考えなければなりません。そう考えなければ、「孤独」と同じように、「自立」もまた無意味になります。そして、この考え方を採用しなければ、人の作るどの社会も、「人として生きている実感を欠く社会」になってしまいます。≫258頁

 ネットの笑えない拾いもの。

京極夏彦「死ねばいいのに」講談社ノベルス2010年が今日中に必要になり、複数の書店に在庫の確認電話をする。電話口で繰り返し「死ねばいいのに」「死ねばいいのに」と口にしてるうちに、だんだん気持ちが荒んできた。嫌だこのタイトル(泣)≫