極細点描

 畑の土はひどく乾燥しているので、霜柱もほんのわずか。というより霜だけか。

 一昨日のNHK教育テレビ『日曜美術館』、レオナルド・ダ・ヴィンチの特集でのスフマート技法の解説が印象的だった。『西洋美術史』美術出版社2004年4刷より。

《「モナ・リザ」では、レオナルドが案出、ないしは発展させた新しい技法、「スフマート(ぼかし)」と空気遠近法が駆使されている。スフマートは、明暗の微妙な移行により、形態を柔らかく浮かび上がらせたり周囲に溶かし込んだりする技法である。この技法は画面に新たな統一感をもたらし、人物に豊かな生気を与える。》88頁

 それがスフマート技法の特徴だけれど、一昨日の放送では、その描写は、眼に見えないほどの無数(!)の極細点描で描かれたとする新説を紹介していた。驚いた。油絵の具でそれを実現するにはまさしく極度の緊張を長期間にわたって強いられる。こんな気の遠くなる描写は彼しかできなかっただろう。「地獄の点描」の水木しげるも脱帽ものだ。