準備完了

 昨晩近所のスーパーで買いものをしていたら、聞き覚えのあるメロディーが店内放送で流れていた。店を出た時やっとわかった。KAZAMIの『 Only Truth 〜夢じゃないキス〜』2001年だ。昔、ブックオフ三島徳倉店の店内放送で耳にしてCDを買い求めた。まだ中学三年生だった彼女の東京渋谷道玄坂でのシークレット・ライヴに行った。私一人が聴衆年齢をぐっと引き上げていたなあ。あれから早十年。光陰矢のごとし。……1991年ソ連崩壊、2001年テロ、2011年津波。文明史的大事件が十年ごとに起きている。

 展示替え完了。これで一安心。余裕ができたので、北一明作品の表記をコピーして替える。見やすくなった。

 ブックオフ長泉店で四冊。太田忠司『ミステリなふたり』幻冬舎2001年初版帯付、道尾秀介『シャドウ』東京創元社2006年初版二重帯、小島信夫アメリカン・スクール』新潮文庫2008年20刷改版、山田風太郎『人間臨終図巻 II 』徳間文庫2001年初版、計420円。

 『人間臨終図巻』のI 巻とIII巻は持っているけど、この「五十六歳で死んだ人々」から「七十二歳で死んだ人々」までの最も関心のあるII巻は持っていなかった。やっと読める。私の歳、六十歳で死んだ人々には、ジンギスカン日蓮コロンブスドストエフスキー明治天皇森鴎外石原莞爾菊池寛谷内六郎らがいる。多士済々だ。まあ、全世界全歴史から選ぶのだから、当然か。1985年六十一歳で亡くなった「ポルノ小説の大々的フロンティア」川上宗薫の場合。

《葬式の喪主は、三十歳の妻と四十歳の娘の二人が努めた。》

 1948年六十歳で亡くなった菊池寛の言葉。

《「自分は思う。後世というものは、我々が思うほど親切だはあるまいと。否(いな)可なり不親切な冷淡なものではあるかいかと」》

 どんなものにも賞味期限がある。文学にも美術にも音楽にもある。菊池寛は小説が話題になり菊池寛賞に名を残しているけれど、川上宗薫の小説は今読む人がいるだろうか。上記KAZAMIの楽曲は、まだ賞味期限切れではないようだ。安藤信哉の絵は、熟成が進んでいっそう味わいが増している。