死亡・失踪・誕生

 昨夕帰りがけにブックオフ長泉店で二冊。多島斗志之(としゆき)『黒百合』東京創元社2008年初版帯付、アゴタ・クリストフ『どちらでもいい』ハヤカワepi文庫2008年初版、計210円。アゴタ・クリストフは先月75歳で亡くなったけど、失踪した多島斗志之はどうなったんだろう。

 朝、美術館へ来る前に銅版画家林由紀子さん宅へ寄り、お誕生日祝いとゲストハウス新築祝いの粗品を進呈。まったく大した品物ではないなあ。文字通り粗品→ビール。ご主人にも喜ばれたから良し。ネットで見たよりもはるかにステキ。板張りの床なのでお掃除も楽。

 管啓次郎(すがけいじろう)が2日のブログで書いている。

《 8月2日というと20世紀日本の最高の小説家の誕生日。中上健次。生きていたら、きょうで満65歳でした。》

 中上健次。未読の小説家。いつか読もうと本は買ってある。いつか読もうと買っておいたガストン・ルルー『黄色い部屋の謎』創元推理文庫1994年64刷を呼んだ。1907年、明治40年の小説だ。中島河太郎は解説で書いている。

《 いまから五十年前の「黄色い部屋の謎」は、現代推理小説を読み馴れた読者にとっては、やや古色蒼然たる感じがするかもしれない。だがここに盛られた幾つかの独創的なトリックは、本格推理小説の最高水準を示すもので、世界的な古典傑作として愛好家必読の作品といわねばならない。》

 いまから百年以上も前の推理小説なのだから、古色蒼然たる感じは否めない。けれども見事なトリックだ。本文から。

《 目に見える事実は、それをどう見るかによってどうにでも取れるものですから、しばしば判断を誤る原因となるのです!》347頁

 原発事故をはじめ、いろいろな場面で通用する発言だ。

 ネットの拾いもの。

《 たまった本を古本屋に売ろうとダンボールに詰めた。

  すき間ができないようにいろいろ向きを変えたりしてようやく終わった。

  50冊くらいあるので重いだろうなと思いながら持ち上げたら底がぬけた。

  ガムテープ貼ってなかった。》