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 黄昏は心を他界へといざなう。ホイッスラーの『青と金のノクターン-オールド・バターシー・ブリッジ』に惹かれる。

《 印象派の画家たちと同世代であるが、その色調や画面構成などには浮世絵をはじめとする日本美術の影響が濃く、印象派とも伝統的アカデミズムとも一線を画した独自の絵画世界を展開した。》

 黄昏、夕暮れ、どちらでもいいが、その青から紺青濃紺そして誰彼へと変幻してゆくひとときの青の諧調。ホイッスラー、レオン・スピリアールト、小原古邨、高橋松亭そして川瀬巴水。そして味戸ケイコ。青き流れのノクターン

 寺山修司幻想図書館河出文庫1993年初版、「書物に関する百科」から。

《 本は、その内容においては世界の暗喩たり得るのだが、形においては「ただの紙の束」である。

  だが、こうした「紙の束」が、人々を狂わせ、しばしば人の一生を狂わせてしまったりするのだ。》

《 本は、あらかじめ在るのではなく、読者の読む行為によって〈成らしめられる〉無名の形態に他ならない、のである。》

 しかし、読む前に問題が立ちふさがっている。

《 『クリスマスのフロスト』を読み終え、マイクル・コナリー『真鍮の評決』を読み始めたのだけど、改めて文字の大きさの違いに驚く。1ページの文字数を数えてみたら20年前の創元文庫は42文字×18行=756文字!創元推理文庫の文字数は今も同じ。拡大せずには読めない…。》

 『クリスマスのフロスト』は創元推理文庫、『真鍮の評決』は講談社文庫。