展示の準備

 昨夕帰りがけにブックオフ長長泉店で二冊。池内紀(おさむ)『海山のあいだ』中公文庫2011年初版、道浦母都子『女歌の百年』岩波新書2002年初版、計210円。『海山のあいだ』に収録の「愛鷹山」は、『ちくま日本文学全集 白井喬二筑摩書房1993年初刊の解説「ことばの小宇宙」を省略加筆したもの。「ことばの小宇宙」では10頁にわたっていたものが、この本では4頁に。冒頭は省略、加筆されている。
 「愛鷹山」冒頭。

《 三島を過ぎると右手にズングリした山が見えてくる。》

 「ことばの小宇宙」冒頭。

《 東海道線を上り下りした人は沼津駅の近くで目にしたはずだ。》

 「愛鷹山」結び。

《 いつのまにか雲が切れて、夕焼けに染まった赤富士がスックと空にそびえている。》

 「ことばの小宇宙」結び。

《 いつのまにか雲が切れて、夕焼けに染まった赤富士がスックと空にそびえていた。》

 この結びから、種村季弘『晴浴雨浴日記』河出書房新社に収録された「竹倉の富士山」を連想。

 牧村慶子さんの鉛筆〜水彩画61点を展示する。ほぼ制作順に並べる。ふう。展示する絵は、1974年から1985年に描かれている。気に入った絵を選んだ結果が、この十年ほどに収まっていた。この十年が、彼女が最も輝いていた、上り調子の時期か。成長〜成熟の過程が明瞭にわかる。面白いものだ。

 展示は、額装も題名も無し。そのほうが、スッキリと絵そのものを鑑賞できる。アクリル板一枚あるかないかで、印象がガラリと変わる。白壁が、そのままマットになる。額があると窮屈になる。

 内田樹(たつる)の発言『「リアリスト」に未来はあるか?』より。

《 人間が醜悪で卑劣な動機から行動することは信じるが、何かしら崇高で非利己的な目的のために行動することは信じない。(引用者:略)

 そのような「リアリズム」に導かれて市民的成熟が達成することはないし、集合的叡智が機能することもない。「私欲と我執だけが信じられる唯一の現実だ」という人間理解に居着いた「リアリスト」がそこから解放されることは困難である。》

 ネットの拾いもの。

《 爆弾低気圧  ゲリラ豪雨  冬将軍

  これらを合わせて学会では、気象の三国軍事同盟

  と呼んでいるそうです、嘘です。》