街の灯

 昨日、大阪で個展中 の画家坂部隆芳氏から電話でメールのアドレスを教えられる。試験送信。今朝、返事が届いていた。

《 今後イスタンブールからメールでご連絡いたします。》

 へえ。

 北村薫『街の灯』文藝春秋2003年初版を読んだ。帯の文から。

《 士族出身の上流家庭・花村家にやってきた若い女性運転手。令嬢の < わたし > は『虚栄の市』のヒロインにちなんで、彼女をひそかに < ベッキーさん > と呼ぶ。そして不思議な事件が……。待望の新シリーズ!》

 昭和七(1932)年の東京と軽井沢を舞台にした上流階級に起きる三つの事件を描いた三編。『リセット』では関西の上流階級を描いていた。上流階級を活写した小説はちょっと思い当たらない。そういう点で物珍しい。爵位の公候伯子男なんてすぐ忘れてしまう。平民には無縁だからなあ。

 翻訳家西崎憲が「歴史的名訳」本を挙げている。

《 上田敏の『海潮音』、渡辺一夫のラヴレー、堀口大学佐藤春夫の訳業、平井呈一サッカレー、多田智満子の『東方綺譚』などのことである。》

 堀口大學『月下の一群』講談社文芸文庫、『ガルガンチュワ物語―ラブレー第一之書』岩波文庫サッカレー『床屋コックスの日記,馬丁粋語録』岩波文庫、ユルスナル『東方綺譚』白水社などなど、どれも本を持っている。持っているけど、ろくに読んでない。これからの愉しみ。

 ネットの見聞。

《 原発が全部止まると、カネを稼ぐ「固定資産」が全て、一気に不良資産に変身、沖縄電力を除くそれぞれの電力会社が何千億とか、下手すりゃ兆を超える「特別損失」を計上しなきゃならないので、ナニが何でも一基だけは動かしておかないと、企業の継続性そのものに対する疑念が出て来て、会社が潰れちゃいますw もはや、原発を動かす「意味」というのは、そうした会計上の理由だけですね。》

《 一年延期の、鬱憤晴らしの花見がようやく復活したこの春、ついに聞かれなかったのは恒例の四月馬鹿的なジョークであった。ある新聞が大見出しに「北朝鮮、衛星発射を断念」と打ちだそうとし、社内の嘲笑に遭って取りやめたということ自体が万愚節の終焉を物語るものでなくて何であろうか。》