詩歌の待ち伏せ・上

 昨日話題にあげた清住緑地の講演会資料の古い地図に、今は更地の遊郭があった。朝コンビニに寄って都筑道夫都筑道夫コレクション 七十五羽の烏』光文社文庫2003年初版の514-515頁をコピー。「三島で見た大正期の女郎屋 ……」で、515頁には山藤章二の「三島清住町 村岡荘」の絵。小学生の時は、そこに住んでいた同級生を訪ねて入った。だっだ広い玄関だった。高校生になってからは周囲を見て廻った。へえ、四畳半かなあ。などど想像を巡らせた。解体すると聞いて、玄関上のデカイ鬼瓦を欲しかったけど、置き場所を考えてあきらめた。廓の写真は、まだ目にしたことがない。

 しばらくすると気づいてくるものがある。昨日話題の姫野カオルコ『受難』もそう。受難、すなわち受苦、受け身。フランチェス子の生き方は哲学的観点からの深い思考実験へ思いを及ばせる。なんて書くとすっ飛んでる、と思われそうだが。頭の中に新たな視点が生まれそうな予感。予感で終わりそう、なんて言わない。そんな予感が、予兆となり、芽生え、いつか花が咲く……花咲か爺か? まあ、果報は寝て待て、だ。

 ブックオフ長泉店で文庫本を四冊。垣谷美雨『竜巻ガール』双葉文庫2009年初版、北村薫『ニッポン硬貨の謎』創元推理文庫2009年初版、同『鷺と雪』文春文庫2011年初版、ジル・チャーチル『眺めのいいヘマ』創元推理文庫2011 年初版、計420円。数日行かないうちにいろいろ入荷していた。『ニッポン硬貨の謎』は単行本で読んでいるけど、法月綸太郎の「あらずもがなの解説」を読みたくで(言い訳じみてるなあ)。『眺めのいいヘマ』は、主婦探偵シリーズ十一作目。まだ続くという。十一作すべて、題名は小説のパロディ。今回のは言わずと知れたE・Mフォースターの長篇『眺めのいい部屋』。といっても、本さえ持っていない。

 北村薫『詩歌の待ち伏せ・上』文藝春秋2002年初版を読んだ。

《 『何となく』よくて、一日中でも、一年中でも、あるいは一生見ていられる絵、などというものに巡り合えたら、こんな素晴らしいことはないでしょう。》「十一」

 K美術館に展示している味戸ケイコさんも、牧村慶子さんも、そういう絵。鬱陶しくない。

《 作品に向かい合うのは、人間という鏡で、それが一枚一枚違っている。同じ像は結ばない。影がずれつつ重なり合うことにより、作品はより深くなって行きます。》「十一」

《 西條八十もまた、功なり名とげながら、誰もがそうであるように何かを得られなかった人であるように思えました。》「十九」

 ネットの見聞。

《 政府の作戦は兵糧攻め大飯原発現地を始めとしてどこも現地は定期的に入ってくる作業員が来ないので民宿も飲食店も収入が途絶えて悲鳴を上げている。地元民自らが再稼動を懇願するように。この戦略は非情かつ効果的、伝統的な分断作戦でもある。原発現地にベーシックインカム的な補助を暫時するべし。》

 ネットの見つけもの。どこ。

《 大阪府交野市私市  かたのし(交野市)きさいち(私市) 》