天才までの距離

 ビキニデー。太陽は薄雲に隠れ。夜は春の嵐みたい。

 門井慶喜『天才までの距離』文春文庫2012年初版を読んだ。美術品にまつわる五篇のミステリを収録。

《 美術品を主題にした国産ミステリは少なくないが、その中でもトップクラスの一冊だと断言しておこう。 》

 解説で福井健太が書いているので読んでみた。前半は、『おさがしの本は』光文社文庫でも感じたもどかしさがあったが、後半の二篇では解消。「トップクラスの一冊」かなあ。脳裏には北森鴻のキレのいい美術ミステリが浮かぶ。

《 そういう夫の妻にしてさえ名前を聞いたことがない、ないし聞いても忘れてしまったという事実のなかに、平福百穂という日本画家の凋落はむごいほど端的に示されている。いまとなっては専門家と、愛好家と、郷里角館の住民のほかには知る人もないのではないか。 》 「文庫本今昔」

 平福百穂ひらふく・ひゃくすい)。代表作が浮かばない。

《 私は牧谿もっけい)の実物を見たことがないし、元来が東洋美術を評するための語彙をたくさん持たない人間だけれど、それでも「水墨美術大系」第三巻『牧谿・玉澗』戸田禎佑著、講談社)という大型の画集をひらく程度の予習はしたから、真作との差がよくわかる。 》 「どちらが属国」

 戸田禎佑は、北一明の焼きもの作品を高く評価している。

《 「あなたの収集の姿勢はあまり尊敬できるものではありません。生まれ年だの学歴だのいう外面的な情報をいささか重視しすぎるように見受けられます。けれども実際のところ、コレクションというものは、もう少し内面的というか、強い共感からおこなわれてはじめて真に高い価値を持つのではないでしょうか」 》 「レンブラント光線」

 深く同感。

 ネットの見聞。

《 「誰かに寄り掛かる心を捨て」今日の安倍総理の演説の中で、最も印象に残ったのは、冒頭のひとこと。私は、人は誰かに寄り掛かっていいと思います。寄り掛かった以上に、寄り掛かってきた人を支えられれば、それでいい。それが、我々が目指す共生社会です。やはり、安倍自民と我々は違うと感じました。 》 細野豪志

 ネットの拾いもの。

《 全国で唯一スタバがない鳥取県。どう考える?と直撃された鳥取県知事、「うちには大きなスナバがありますから」。 》

《 石原慎太郎が怒りを込めて叫んだ。「親子の近親相姦、きょうだいの近親相姦、そういう歪んだ性愛というものを描いて金を儲けている人間は、私は卑しいやつだと思いますな」。直ちにその意を受けた圧力により、石原慎太郎「完全な遊戯」と「古事記」「聖書」関連書籍が絶版になった。 》