「名探偵が多すぎる」

 この一週間日をあけて、源兵衛川の上流部の石垣に繁茂する外来種ヒメツルソバの除去に精出した。48リットルのゴミ袋に一杯入れて合計10袋。面白いもので、日当たりの良いところだけに生える。若芽でも根は20センチほどにも。西洋タンポポみたいだ。

《 とっても愛らしい花をつけてくれるんで、寄せ植えの素材にもされる植物なんですけどね......けどね、広がる速度はかなりのものです。植物界のエボラ出血熱と呼ばせていただきます。 》

 ブックオフ沼津南店へ自転車で行く。野坂昭如『赫奕(かくやく)たる逆光 私説・三島由紀夫文芸春秋1987年初版帯付、あさのあつこ・ほか編『衝撃を受けた時代小説傑作選』文春文庫2011年初版帯付、井筒俊彦イスラーム文化』岩波文庫2000年18刷、大江健三郎河合隼雄谷川俊太郎『日本語と日本人の心』岩波現代文庫2002年初版、菊地成孔(なるよし)・大谷能夫(よしお)『東京大学アルバート・アイラー 東大ジャズ講義録・キーワード編』文春文庫2009年初版、後藤正治『咬ませ犬』岩波現代文庫2005年初版、澁澤龍彦『玩物草紙』朝日文芸文庫1993年初版帯付、半藤一利・編著『日本史が楽しい』文春文庫2000年初版、計840円。他にも欲しい本が何冊もあって、仕方なく棚に戻した。なんでこんなにあるの?

 それにしても、純文学やミステリはブックオフで安く入手できるが、社会科学、生命科学、哲学、建築といった発行部数の少ない分野は望み薄。今年出版されたそれらの分野の本で、読みたいと思う本は、……高いわ。普通に五千円を超える。はあ。まあ、買ったとしても、いつ読めるのか、理解できるのか、と自問すると黙るしかない。ああ、本の世界の果てしない奥行きと広がり。まさしく本は思索の宇宙を閉じ込め、かつ開かれ、膨張している。知れば知るほどワクワクする。ああ、名作本が多すぎる。手に負えんわ。

 西村京太郎『名探偵が多すぎる』講談社文庫1992年32刷を読んだ。元本は1972年の刊行。明智小五郎の招待で、エラリー・クイーンエルキュール・ポアロそしてメグレ夫妻の乗船する豪華客船あいぼり丸は、神戸を発って春の瀬戸内海を別府へ向っていた。そこへアルセーヌ・ルパンからの挑戦状が届けられた。その矢先に一等船室で密室殺人事件が発生。宝石商を殺して一億円相当の宝石を盗んだのはルパンか。それとも乗船しているらしい怪人二十面相か。あるいは別の者か。殺しの手口は? いやあ、面白かった。これまた一気読み。メグレの奥さんがいい味出している。四十年も前に書かれたとは思えない。中島河太郎は解説で書いている。

《 戦後の日本推理小説の盛況は目ざましいかぎりだが、どうも真面目でりきみすぎるのが、日本人の特性のように見受けられる。ゆとりやユーモアが、わが推理小説にも希薄である。
  その点では西村氏の本書は、類例のない試みであった。 》

《 西村氏の多彩な軌跡のなかでも、ひときわすぐれた成果であり、日本の推理小説の展開から眺めても、このユニークな足跡はあざやかに刻まれている。 》

 同感。作品の詳細は以下のウェブサイトに。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%8D%E6%8E%A2%E5%81%B5%E3%81%8C%E5%A4%9A%E3%81%99%E3%81%8E%E3%82%8B

 ネットの見聞。

《 政府「今回は一刻を争う緊急事態、人道性が極めて高いことから銃弾の提供を判断、併せて武器輸出を原則禁じてきた武器輸出三原則の例外措置として実施」ー 例外ならなんでもありか…。 》 椹木野衣

《 これまで長年「国是」にしてきた武器輸出三原則を、いとも簡単に4閣僚だけの会議で「例外」と決めて実施してしまうところに危うさを感じる。まさになし崩し。 》 布施裕仁

《 政府は、南スーダンPKOで、弾薬を韓国軍に譲渡した。政府は武器輸出禁止三原則の「例外」だという。何事も「例外」の積み重ねで、なし崩しで変わるのが日本の政治家の得意技だ。秘密保護法もたくさん例外を積み重ね、秘密警察国家になるのだろう。 》 金子勝

《 温暖化はすると寒くなるとバカなことをいっている人がいますが、地球の平均気温は下がっているのでそもそも温暖化していないのです。 》 池田清彦

 ネットの拾いもの。

《 隣に座った父子の会話。
  父「きれいなクリスマスツリーが見えるね」
  子「クリスマスってなに?」
  父「キリストさんが天国に行った日やで」 》

《 神様はお一人様なのか 》