『 潜航艇「鷹の城」 』

 小栗虫太郎『潜航艇「鷹の城 』教養文庫1977年初版を読んだ。本文三頁二行に脱字? がある。「男」ではなく「男爵」では?と『二十世紀鐵假面』桃源社昭和四十四年初版を 再び取り出して見ると、やはり「男爵」だった。本文を対照し、教養文庫で読むことにした。 いやはや古い著作を読むのにこんな苦労が待っているとは。それはさておき、小説自体は 潜航艇の海底密室殺人という本格ミステリ。転変する推理途上の衒学趣味が楽しい。 法水麟太郎の発言。

《 「ねえ支倉(はぜくら)君、僕がもし、ボードレールほどに、交感(コレスポンダンス) の神秘境に達しているのだったら、この涙の匂いで、ウルリーケをいったいなんと唱うだろうねえ。」  》 34頁

 ウルリーケは、故フォン・エッセン男爵の妻。

《 だから、ブレーク、ベックリン、ロセチ、それにドーレの『失楽園』やキャメロンの 『水神(アンディーン)』『ニーベルンゲン譚詩(リード)』など──ああしたすこぶる幻想的 (ファンタスチック)な挿絵を見るとだね……」 》 68頁

 解説で松山俊太郎は書いている。

《 この「瑕瑾」なるがゆえに一層いとしむような態度はなにに由来するのであろうか。その 第一は、「三重密室殺人」という、状況設定にある。(中略)第二に、「ニーベルンゲン譚詩」 「さまよえるオランダ人伝説」との暗合によって事件を展開するという、最初の目論見こそ 挫折したけれども、「雰囲気」は醸し出せたし、「精神分析技法」の導入によって、 「深層心理」の水脈が処々に姿を見せ、抒情味たっぷりな叙景と相まって、「鷹の城」は、 虫太郎の全作品中で最も「詩的」なものとなっている。 》 326-327頁

 別の本棚に扶桑社文庫の『二十世紀鉄仮面』2001年初版と『失楽園殺人事件』2000年初版 (『潜航艇「鷹の城」』収録)があった。歳ではなく猛暑だから一時的忘却、だい。

 年金支給の始まる同世代の人たちは朝が早い。私は午前八時に目が覚める。今朝もピッタリ。 目覚ましが鳴る直前だ。就寝は午後十一時過ぎ。たっぷり八時間は寝る。昼寝も時々するから あるいは早くも後期高齢者……。それはやだな。

 題名に惹かれて買おうかな、と迷って見送った歌集が、昨日は売れていた。へえ〜。 地元の女性が自費出版(当然だが)した本で、彼女が歌を作っているとは知らなかった。 歌集を持参して久闊を叙す目論見はあえなく潰えた。迷ったら買え、だな。迷って見送った マイクル・コナリースケアクロウ 上』講談社文庫は、上下巻持っていた。

 ネットの見聞。

《 コーヒー豆がなくなったというだけで動揺激しい日曜の朝。買いに行かねば。 》 太田忠司

 昼食後はなぜか熱い珈琲を飲みたくなる。猛暑日のきょうも。在庫は……よしよし。

《 「あなたの一切の言動に、知性や思いやりのかけらを感じたことがないし、 一国民としてナメられている気がしてなりません」――。 》 SEALDs芝田万奈
 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/254835

《 問題は、その都の担当者に、根本的に教養が欠けていることだろう。  》 茂木健一郎
 http://togetter.com/li/852328

《 真面目な態度というのは何か神聖に見えるのか、”あのアーティストは美に対して 真面目に取り組んでいるから素晴らしい”という言い方をする人もいるけど、なら殺人犯も ”自分の目的に真面目に取り組んだ”と言えてしまう。真面目な態度であることと 作品や表現は全く別物のはずで 》 ろくでなし子
 https://twitter.com/6d745

 ネットの拾いもの。

《 それにしても為政者は芸術の何に怯えているのか。器が小さい。 》

《 参事官って偉いの?
  ↑四次官>参次官>弐次官
  ↑1日に3時間しか勤務しなくても許される、と言われるぐらい偉い。 》

《 もしや、ヒートテックを着てきたのでは。 》