『書物法廷』

 赤城毅『書物法廷(ル・トリビュナル)』講談社文庫2013年初版を読んだ。四篇を収録。書物狩人= ル・シャスールが挑むミッション・インポッシブル。

《 ことが明るみに出れば、一国の政府がくつがえるような秘密が隠された書物だけを標的とする プロフェッショナルだ……。 》 134頁(第2話「銀の川の蜃気楼」)

 『書物狩人』『書物迷宮』に続く第三作。すでに六作まで出ているとか。好みのシリーズ。 文庫になるのが楽しみ。壮大な構想力と表現力のこれを読むと、小説を書こうかという意欲は失せる。 無理無理。

《 「画商には売れなかったが」
  「金を稼げぬ絵が、必ずしも悪い絵であるとはかぎりません。とはいえ、彼らが仲介しなければ、 作品を世に問うことはできない。精魂込めた作品を可能なかぎり多くのひとに鑑賞してもらいたいという、 芸術家の欲求は満たされぬままに終わってしまうのです。」 》 70頁「第1話 クイナのいない浜辺」

《 「書物は、それを持つにふさわしい方が所有しているのがいちばんよ」 188頁(第3話「奥津城に眠れ」)

 書物に淫する人が解説を書いている

《 本のない生活など考えられない。あまりにも好きすぎて本を処分することができず、書庫兼用の家を 建ててしまった。鉄筋三階建てで、すべての階に五○畳ほどの書庫あり。とりあえず死ぬまで本を 買い続けても大丈夫なだけのスペースは確保しているのだ。 》 細谷正光

 ネットの見聞。

《 味戸ケイコ個展―あわいのひかり― 》 福山知佐子
 http://chitaneko.cocolog-nifty.com/blog/2015/10/index.html#entry-102334955

《 風鈴のほかは何もない貧乏な絵描きの部屋で、よく見ると床の上の暗がりの中に硬質なパレットと 一本の筆が置いてあるのがすごいのです。 》
 http://web.thn.jp/kbi/ajie.htm

    安房直子の短い物語『秋の風鈴』の挿絵として描かれたものです。
    味戸さんの絵は、挿絵という発表当時の役割から解放されて、
    一枚の絵に戻った時、その隠れていた本来の魅力がようやく現れてきます。
    その絵は、独特の情感を湛えた一枚の作品に変貌しています。
    暗い部屋から古びたガラス窓の向こうに広がる秋の雲を眺めるという
    視線の移動に、密やかな感動が生まれます。暗い壁に阻まれていた視野が、
    窓という通過口を通ることで、すーっと広がる解放感と、その逆に
    部屋の中に閉じこもっているような閉塞感とが、すっと交差して、
    そこに味戸ケイコ独特の郷愁、なつかしさが、ふっとこみあげてきます。

《 第25回 吉田秀和賞 受賞作品
  椹木 野衣 『後美術論』(美術出版社 2015年3月刊) 》
 http://arttowermito.or.jp/dir_download/jusyousakuhin2015.pdf

《 ありがとう。おかげさまで重版も決まりました。 》 椹木野衣
 https://twitter.com/noieu

《 何か節目があるたびにマスコミは大騒ぎするが、埋め立てが始まったから沖縄県民はあきらめろ、 という政府が望むメッセージを振りまいているようなものだ。しかし、国の思惑通りになると思ったら 大きな間違いだ。 》 目取真俊
 http://blog.goo.ne.jp/awamori777/e/ff7dfb3a580ec1e9c9e32357ee5e0836

《 1884年10月31日、秩父事件。埼玉県秩父郡で困民党員と1万人の農民が蜂起し大宮を占拠、 軍隊が鎮圧しました。 》

 ネットの拾いもの。

《 そのうち、京都のJAは9条ねぎという名称は政治的だから、 名前を変えろと政府に指示されることになるだろう。 》

《 今年のハロウィンの恵方どっちだっけ 》

《 ハロウィン日、コスプレでも何でもなく、ただ白いシャツ着ているだけのひとに 「実況見分のときの宮崎勤ですか?」と言おうと思ったがやめた。 》

《 一冊一冊はさほど高くはないものの、じりじりとお財布が崩壊の道をたどっております… 》