『ニッポンの書評』

 昨日、『ノーライフキング』に寮美千子『ノスタルギガンテス』を、『ワールズ・エンド・ガーデン』に 高野和明『幽霊人命救助隊』を対置させたが、では『想像ラジオ』は何に? 水木しげる河童の三平』兎月書房だ。 軽みとおかしみと諦観のある進行。

 豊崎由美(崎の字は本当は右上の大が違うが)『ニッポンの書評』光文社新書2011年初版を読んだ。

《 批評は対象作品を読んだ後に読むもので、書評は読む前に読むものだということです。 》 13頁

《 書評にとってまず優先されるべきは読者にとっての読書の快楽であり、その効果を狙って書いたであろう 作者の意図なのです。 》 14頁

《 つまり、長さなんかが問題ではないのです、問われるべきは密度なのです、深さなのです。 制約の多い書評だからこそ発揮できる芸もある。 》 15頁

《 書評は作家の機嫌をとるために書かれてはならない。 》 26頁

 怒涛の畳み込みだ。イラストにも当てはまる。

《 つまり、大きさなんかが問題ではないのです、問われるべきは密度です、深さなのです。 制約の多いイラストだからこそ発揮できる芸もある。 》

《 イラストは作家の機嫌をとるために描かれてはならない。 》

 味戸ケイコさんの絵を思う。

 飛んで88頁。

《 そう、書評には”その人にしか書けない”というものも存在するのです。 》

 味戸ケイコさんと北一明を連想。

《 そう、作品には”その人にしかできない”というものも存在するのです。 》

 「第12講 新聞書評を採点してみる」では朝日読売毎日東京産日本経済新聞、2009年4月26日(日)に掲載された 署名入り書評43本が俎上に。私は一冊も持っていないし当然未読。豊崎は二冊既読。そんなもんだな。

 私の読書記事は当然書評ではない。面白いと感じたリ、同感した箇所を引用するだけ。粗筋は 他の人の記事を読んでくれ、だ。引用したい、正鵠を射た箇所がいくつもあり、軽く読めるが内容は濃い。いい本だ。
「あとがき」から。

《 でも、わたしは物語には弱った心を支える力や現実に吹き消された希望の灯りをともし直す力、自分とは違う誰か、 此処とは違う何処かに思いを寄せるための想像力を培う役目があると信じています。 》

 私にとって味戸ケイコさん、北一明の作品がそうだから美術館を開いた。

 ブックオフ長泉店文庫本を四冊。開高健『衣食足りて文学は忘れられた!?』中公文庫1991年初版、同『夏の闇』 新潮文庫1995年21刷、山村美紗ほか『リレー・ミステリー 京都旅行殺人事件』集英社文庫1985年初版、 ミステリー文学資料館編『古書ミステリー倶楽部』光文社文庫2014年4刷、計432円。コーヒー一杯分でこれだけ 愉しめる。

 ネットの見聞。

《 そして、作品と作者は、やっぱり別物です。 》

 北一明を思う。

 ネットの拾いもの。

《 「今年の漢字は、安倍首相の『安』になりました!」「新国立競技場は、センセの名前から頂いて、 『森のスタジアム』です!」 》

《 「生き残って来年もまた会いましょう」 》