小川洋子『博士の愛した数式』新潮社2004年30刷を読んだ。十歳の子持ち、二十八歳の家政婦をしている未婚女性が、 六十四歳の元数学博士の家事の世話をする。その博士は、80分で記憶が失せる病気持ち。なんて発想だろう。
《 「本当に美しい証明は、一分の隙もない完全な強固さとしなやかさが、矛盾せず調和しているものなのだ。」 》 23頁
《 「直感は大事だ。カワセミが一瞬光る背びれに反応して、川面へ急降下するように、直感で数字をつかむんだ」 》 25頁
《 「そう、まさに発見だ。発明じゃない。自分が生まれるずっと以前から、誰にも気づかれずそこに存在している定義を、 掘り起こすんだ。」 》 58頁
《 自分が迷い込んでいた状況の混沌ぶりに比べ、たどり着いた解決の地の、この清らかさは何なのだろう。 》 81頁
《 正解を得た時に感じるのは、喜びや解放ではなく、静けさなのだった。 》 89頁
《 自分の立っている地面が、更に深い世界によって支えられているのを感じ、私は驚嘆する。 》 115頁
上記引用文に北一明の陶芸術=茶碗を連想。
しみじみといい作品だ。筋は単純だが、当然単調ではなく、じつに手が込んでいる。なんという見事な手際だろう。感嘆。 小川洋子、すごいわ。
昼前、ブックオフ長泉店で二冊。布施英利『パリの美術館で美を学ぶ』光文社新書2015年初版、小島貞二『禁演落語』 ちくま文庫2003年3刷、計216円。空模様があやしいので干した蒲団を取り込んだ正午前、ポツンと雨粒。天気情報では 「静岡県東部には局地的な前線の影響で」。またか。天気図ではここだけ雲。昼過ぎ、撮影の仕事を終えた友だちから電話。 近所のお店でお茶。お疲れ様。
ネット、いろいろ。
《 小泉喜美子さん『痛みかたみ妬み 小泉喜美子傑作短篇集』(中公文庫)が入荷しています。 入手困難な短篇集が未収録作品を含む増補、復刊。小泉喜美子さんの作品で”大人の世界”を知った方も多いのでは。 没後30年以上経った今も色褪せない、大人のための(大人でなくても)傑作イヤミス!(鈴木) 》 青山ブックセンター本店
https://twitter.com/Aoyama_book/status/844831629797351425
《 「痛みかたみ妬み 小泉喜美子傑作短編集」がようやく店頭に並んだ。思ったより厚い。「弁護側の証人」 を原作としたドラマ「冬の祝婚歌」で知った著者の新刊を初めて買った思い出の一冊。著者がなくなったとき、同人誌に 「悼み悲しみ寝耳に水」という文章を寄せたほど、このタイトルが好き。 》 昭和37年度生男
https://twitter.com/kj1480/status/844566434906714112
《 「事実は小説よりも奇なりでございます。」籠池ファンが増えたんじゃないかな。 》 森岡正博
https://twitter.com/Sukuitohananika/status/844822879594168320
《 カローシに引き続きソンタクが英語の辞書に載りそう 》
《 「アベノリスク」 》
《 「死なば森友」 》
《 神の味噌汁 》