川上弘美『センセイの鞄』、絲山秋子『袋小路の男』、小川洋子『博士の愛した数式』、多和田葉子『雪の練習生』、 笙野頼子『金毘羅』、桐野夏生『グロテスク』と、女性作家の小説を集中的に読んだ。これらは群像編集部編 『21世紀の暫定名著』のリストで挙がっている女性作家の小説で、私の持っている本。
http://amberfeb.hatenablog.com/entry/2017/02/02/184959
これに既読の朝吹真理子『きことわ』が加わる。さて、うーん、と考え込んでしまう。暫定名著には詩歌は全落(当然か)。 ミステリも壊滅的。
上記の小説。プラス、ゼロ、マイマスと分類して論じたくなり、考えを巡らせていたが、《 どうしようもなく「本物」 を感じさせる身体表現 》という知人の文に出合って俄に使いたくなった。
http://chitaneko.cocolog-nifty.com/blog/2017/04/index.html#entry-112770476
「どうしようもなく『本物』を感じさせる表現」。美術・芸術作品を判断する時にじつに有効な視点だと思う。思い立って 掌に乗る作品を床の間に並べてみた。並べると気づく個性あるいは質の違い。どうしようもなく本物を感じさせる作品には品、 品格がある。どうしようもないものもあるわ。全部を取り払い、北一明の茶入れ四点と盃五点を並べてみる。どれも どうしようもなく本物を感じさせるわ。脱帽。2009年にD氏から届いたメールの一部。
《 お送り頂きました北陶工の作品、あくまで氏の片鱗や創作の一端でありながら、予想していたより遥かに素晴らしく、 個人的にはもう陶器収集の最後を感じさせるほどのお品で御座いました。
小品といえあれだけの技量、とりわけ隠しおおせない稀有のセンスを持ちながら、一方で昨今の氏への評価を対照させるにつけ、
尚一層、現今の我が国陶芸界の水準を推して知るべき状況、
仕方が無いと言ってしまえばそれまでで、
現今どころか、深くは人の性にもその根源ある顛末、
なんとも言葉の無い心境に御座います。
言葉では到底尽くせない、あのセンスを感受出来る人が幾らも存在しない現実、
そしてそれは同時に図らずも結果的には私個人には大変に願っても無かった状況、
これがために叶ったこんな私への氏の労作とのご縁叶った事、
反面ただただ感謝せずにはおれないものにも御座います。
まず間違いなく昨今の陶芸の全てを見切ってこそのあのアプローチ、
しかももって生まれた天性の感性とそれを磨きに磨いてたどり着いた境地にて作陶なされたその結実、
私は本当に幸せの事と存じます。 》
北一明の盃、茶入れを並べて気づいた。品のある作品同士は、軽やかな音楽的な協奏を奏でる、と。じつに洗練された心地良さ。 組み合わせの妙。しかし、翻って、洗練の極みはもはやその先がないということ。北一明は個展毎に過去の作品とは違う様式、 スタイルの茶碗を創り出していた。それはその時点でその様式の洗練された極みを見せていた。
ま、それは措いて。ここで気になるのが、昨日話題の桐野夏生『グロテスク』。グロテスクは洗練とは正反対。グロテスクな作品は、 洗練された作品を嘲笑し、引きずり降ろす作用を有している。そして時代が変わると、洗練された作品が時代遅れの古色蒼然たる 不要物に陥ることが多々ある。しかし、真に洗練された作品は、再浮上する。それからは確固たる地位を得る。私は何を言おうと しているのか。ここでは美という言葉を使わなかった。洗練とグロテスク。それは美しいと醜いに言い換えられる。では、美とは何。 美は洗練にもグロテスクにもまたがっている、それらを超越した観念といえるだろう。美、品、品格は、洗練にもグロテスクにもある。 美、品、品格は、質の悪いものには宿らない。また、洗練された作品は誰の目をも惹くが、洗練から遠い作品に美、品、品格を見出す 具眼の士はじつに少い。ふう、煮詰まった。休む。
ネット、いろいろ。
《 「言葉の力」信じ思索 「機械化」社会に警鐘 大岡信さん死去 》 静岡新聞
http://www.at-s.com/news/article/culture/shizuoka/346271.html
記事にある文化功労者に決まった際の発言は覚えていないが、行政が動かないので私たち民間団体主催で文化功労賞受賞祝賀会を 三島プラザホテルで開催。参加者に配る詩集『故郷の水へのメッセージ』花神社1989年初版へ大岡さんがサインをするお手伝いをした。 ついでに持参した著作にサインをしていただいた。「越沼正様 一九九八年一月廿九日 於プラザホテル」。二十年近くも前か。
《 小泉喜美子『痛みかたみ妬み』記念トーク 山口雅也+日下三蔵 》 どんぺりもってこい2
http://d.hatena.ne.jp/domperimottekoi/20170404/1491316046
《 「カテゴリーからの余剰性」。作品の本来持つべき異物性ということだと思った。しかし「これは現代アートね」 というふうに「理解」されないためには、現代アートでない(と呼ばれない)かたちで何かをするしかないところまで来ている気がする。 》 書籍 あなたたちはあちら、わたしはこちら
https://twitter.com/anatatachi_ohno/status/849188127641972738
《最近ネットがあってよかったなと強く思ったのは、「七味唐辛子の穴は、唐辛子のヘタの上にある」という豆知識を得た時。 》 龍の字
https://twitter.com/dragon_boss/status/849484058224726018
《 「これいい!」と思ったコムサイズムのスカートを試着したら、お尻のあたりがミチミチで泣いている…。
同じ品物を店員のお姉さんも穿いてたんだけど、明らかにフォルムが違うの……同じスカートに見えないの……。 》 大矢博子
https://twitter.com/ohyeah1101/status/849825840401498112
《 「死なばモリトモ爆弾」 》