國分功一郎『中動態の世界 意志と責任の考古学』医学書院2017年5刷、「第5章 意志と選択」を読んだ。
《 権力が相手の行為に働きかけて、相手に行為させるのに対し、暴力は相手の身体に働きかけて、相手を特定の状態に置く。 》 147頁
《 権力の関係は、能動性と受動性の対立によってではなく、能動性と中動性の対立によって定義するのが正しい。すなわち、 行為者が行為の座になっているか否かで定義するのである。 》 151頁
《 こう考えると、暴力と権力をきちんと区別せず、両者を曖昧に重ねてしまう考え方というのは、能動性と中動性の対立で 理解すべきであるものを、無理やりに、能動性と受動性、「する」と「される」の対立に押し込む考え方だと言うことができるだろう。 》 151頁
「第6章 言語の歴史」を読んだ。
《 中動態は一部の学者が神秘化したような特別なものではない。それはむしろわれわれの身の回りにあるありふれた事態を記述するのに 便利なカテゴリーである。では、そのような便利なものがどうして姿をを消していったのだろうか? どうして能動と受動を対立させる 不便で不正確な言語が前景化していったのだろうか? 》 164頁
《 この変化の歴史の一側面を、出来事を描写する言語から、行為者を確定する言語への移行の歴史として描き出せるように思われる。 》 175頁
歴史的観点から中動態の消滅過程を、具体的用例から慎重に丁寧に解明してゆく手さばきは、天体望遠鏡で壮大な歴史を観察し、 顕微鏡で言葉の一つ一つの実例を観察するよう。
昨夜気晴らしにネットオークションサイトを覗いた。焼きものの三千点有余の出品物から興味を覚えた四点を今朝見ると、 手元に無くてもいいもの。登録なんぞしていないので入札することはないが、やはり良いものは稀だし、注目していた、千円から開始の 焼きものはニ十七万円で落札。
ネット、いろいろ。
《 「哲学のない時代は不幸だが、哲学を必要とする時代はもっと不幸だ」 》 國分功一郎インタビュー 文春オンライン
http://bunshun.jp/articles/-/3228
《 なんだかわからないものがアイデアだよ。頭でわかって出るアイデアは大したことがない。なんだかわからないで出るアイデアこそ本物だ。 》 横尾忠則
https://twitter.com/tadanoriyokoo/status/884234597000544256
《 16歳のグスタフ・マーラー。・・・ブルックナーの交響曲3番の初演は、演奏途中で客が帰り、終演時には演奏者より 客の人数が少なかったという不評だった。しかし客席で、16歳のマーラーだけが熱く拍手していたという。マーラー恰好いい!。 これぞ芸術。後に何万倍もの人がその曲を聴くことになる。 》 布施英利
https://twitter.com/fusehideto/status/883850551976280064
《 文藝の特集で嬉しかったのは、荻世いをらさんの評価が高かったこと。僕は荻世作品が大好き。本質的に好き。あれこそ、 真の作品ですよ。 》 千葉雅也
https://twitter.com/masayachiba/status/884245148376248321
荻世いをら。本は持っているけど未読。
《 二十世紀から十九世紀に戻るわけないように、二十一世紀から二十世紀に戻るわけがないことがまだ分からないのかな。 今世紀に哲学で起こっていることが一過性のものであると信じたい人がまだいるようだ。 》 清水高志
https://twitter.com/omnivalence/status/884061926501736448
《 技術もメディアも社会も哲学も全部連動して新しいフェーズに入ってんだよ。 》 清水高志
https://twitter.com/omnivalence/status/884062194026938369
日本国憲法と自民党の憲法草案の比較。
http://editorium.jp/kenpo/const.html
《 安倍首相の「こんな人たちに負けるわけにはいかない」発言がいみじくも明らかにしてしまったように「共謀罪」は「テロ対策」 などではなく「こんな人たち」対策です。 》 Siam Cat_036
https://twitter.com/SiamCat3/status/883830317265543168