『日本美術史の近代とその外部』ニ

 稲賀繁美『日本美術史の近代とその外部』放送大学教育振興会2018年初版を少し読む。読むのが遅い。

《 すでに明らかなように、岡倉(天心)の英文著作は、それが執筆された時代状況、それが意図した英語圏の読者層を考慮にいれて読み解く価値がある。 近代日本思想史という、日本語に閉ざされた抽象的な閉域だけで岡倉の英文著作を読み解こうとするのには、原理的に無理があることを確認しておきたい。 》  「第7章 天心・岡倉覚三とベンガルの美術運動」 108頁

《 ところが岡倉の英文を詳しく点検すると、ケイラスの訳を岡倉が注意深く書き改めていることが判明する。「道」を仏教的な「生々流転」「輪廻転生」と 相性のよいものに再解釈した岡倉は、それを受け「道とは小径であるというより、通過のうちにある」the Way is in the Pasage rather than the Path とする 一文を紡ぎだす。従来日本語訳では見落とされがちだったが、ここには「道」を実体ある存在から、「途上」という運動の過程に、体言(名)から用言(動)へと 質的に転換させる工夫が凝らされている。 》 「第7章 天心・岡倉覚三とベンガルの美術運動」 109頁

 書き写そうとすると際限がなくなりそうなので、短く(短すぎるかな)。簡潔に書かれているが、それはまさしく氷山の一角に過ぎない。

 『芸術新潮』から18日の問い合わせ(検証は顕彰では?)への返事のメールが届く。

《  はじめまして。

  この度は弊誌についてのご意見をお寄せいただき、誠にありがとうございました。
  ご質問の件について担当編集者に確認をとりましたろころ、
  今回は、意味的にあえてこちらの「検証」の字を選んだとのことでした。

  ご意見を下さったことで、越沼様がしっかり読み込んでくださっていることがわかり、
  編集部一同大変嬉しく思っております。
  これからも読者の皆様に愉しんでいただけるような紙面づくりを心掛けてまいります。

  今後とも、芸術新潮をよろしくお願い申し上げます。

  芸術新潮編集部 》

 そつがない文章だ。
 知人の車に同乗、ブックオフ函南店へ。谷川俊太郎『はるかな国からやってきた』童話屋2005年8刷帯付、戸川昌子『白昼の密漁』講談社文庫1984年初版、計216円。前者はスリップ付、後者は「講談社文庫連続殺人事件」なる折紙入。
《 リコウな奴ほどタチが悪い。
  テを変え品を変え顔を変え、
  スルドク罠を張ってやがる。
  ミ破ってやる、このトリック。 》
 ネット、いろいろ。

《 リーディングミュージアム構想の問題点 》 永瀬恭一
 https://note.mu/nagasek/n/n913f60bbc915

《 宮田長官が先進美術館を構想したのでなくても、推進したいと考えているならいろいろ腑に落ちる。近代芸術は表向き「商売」と一線を画して 価値体系を築いてきたが工芸はそうではない。工芸が芸術にのし上がっても一線はあった。彼は制度の長の立場を利用し、すべてを「商売」に帰そうとしているのでは。  》 大野左紀子
 https://twitter.com/anatatachi_ohno/status/998353256588824576

《 なんとなくの勘だけど…文化庁のお役人御一行様がアートバーゼル香港あたりを初めて視察しに行って、回っている金が3桁くらい違う、 あまりもの彼我の違いにショックを受け、トチ狂ってこんなもん作っちゃったような気がします… 》 会田誠
 https://twitter.com/makotoaida/status/998127951567769602

《 利益の5%を寄付? 海外企業はなぜアートにお金を出すのか 》 上坂 真人
 https://visual-shift.jp/5170/

《 それが何であっても自分だけの楽しみを持ち、それを心から愛している人が好き。そういう人は他人がどんなにそれを下らないと言っても聞く耳を持たず、 他人を当てにせず、どこまでも自分の流儀と美学を貫いて泰然と知足している。見ていてとても落ち着く人種だ。 》 吉村萬壱
 https://twitter.com/yoshimuramanman/status/997873589218033664

《 私が怒っている本質はそこにはないので、私が3名に送った手紙を公開します。 》 弁護士 池田賢太
 https://m.facebook.com/kenta.ikeda/posts/1279668008802804

《  「実写版・銀河鉄道999」と聞くと、メーテルと哲郎が、ローカル線に乗って
  「ねえ、メーテル、ずいぶんと寂しいところだね、駅前の商店街が全部シャッター降ろしてるよ」
  「そうね、でも、ここは昔、とっても賑やかな街だったのよ」
   みたいな会話をするシーンしか思い浮かばない。 》 鷹見一幸
 https://twitter.com/takamikazuyuki/status/997142937245958146

《 わが国では、萩尾望都先生の御作品の威力で、ギムナジウムはロマンチックなところと思われている。わたくしも、その例外ではなかったので、 ホンモノを見たときの幻滅といったら、そりゃもう……。 》 赤城毅
 https://twitter.com/akagitsuyoshi/status/998221169139503104