「道元仏道の目指すもの」

 道元『現代語訳 正法眼蔵 6』大蔵出版1994年初版、訳者玉城康四郎の巻末の論説「道元仏道の目指すもの」を読んだ。

《  いまここにいう所の「尽十方世界これ一箇の明珠」というのは、玄沙師備によって初めていわれたものであり、それについて道元は、「広大でもなく、 微小でもなく、四角も丸くもなく、中正でもなく、魚のように生々とはねているのでもなく、むき出しに綺麗さっぱりとなっているのでもない」という。
  尽十方世界とは、全宇宙である。その全宇宙が一箇の明珠である、といわれる。それを道元は「広大でもなく、微小でもない」というのである。(中略)
  いったいどうしてそれが、「広大でもなく、微小でもなく」、あるいは「自でもなく、他でもない」などといえるのであろうか。実はここにこそ禅定による のでなければできない洞察がある。入定してダンマが顕わになって、初めてこの一句が頷かれるのである。単に意識上の分別でいかに理解に努めても、むしろ分別を 廻らせば廻らすほど、その実況から遠ざかるのみである。 》 488-489頁

《 ブッダの説法のとおりに、禅定を実習するとき、やがてダンマ(形なき純粋生命、命のなかのいのち)が全人格体に顕わになり、我執が消滅して絶無となる。 同時に、我執なき我(われ)と宇宙とが一体となり、命のなかのいのちが充足する。その境位は、もはやいかなる表現をもってしても、尽し得ない、「広大でもなく、 微小でもなく、自でもなく他でもない」という外はないのである。そして、さらに禅定に集中していると、我(われ)と一体となった全宇宙は、 いのちそのものに凝結して、燦然と輝き出す一箇の珠となる。尽十方世界、是れ一箇の明珠である。 》 489頁

《  尽十方世界は、一箇の明珠であって、二箇、三箇ではない。しかも、全身であり、全人格体である。その全人格体が、正法眼であり、真実体であり、光明である、 というのである。
  以上は、入定において考察した状況である。しかし出定して日常に戻っても、尽十方世界、一箇の明珠であることに変りはない。われわれは、尽十方世界の なかにおいて、あるいは万法のなかにおいて、行道に尽していくのみである。 》 489-490頁

《 「有時」巻は、道元の思索の卓越性が遺憾なく発揮された名篇である。存在と時間の関係は、きわめて普遍的な課題であり、世界思想史のなかで問うべき主題で ある。そのなかにあって、道元の時間論は実に独特で、もはや従来の思想という観念を超えて、存在と時間との稠密な動態的交わりに踏みこんで考察している。  》 492-493頁

《 有時というのは、時がそのまま存在であり、存在がことごとく時である、ということである。 》 493頁

《 いかなる出会いも、その時々、その所々が、すなわち時であり、いのちであり、したがって輝き出る光明である。ここでは、時が一箇の明珠であり、 すべての存在を尽すということができる。 》 493頁

 衆生にはなんとも理解し難い考えだ。

《 このように、言語表現の深い理論を説示する一方で、独自のすぐれた世界観を展開しながら、同時に他方では、荒唐無稽としかいいようのない文を くりひろげている。これがやはり実情なのであろうか。 》 529頁

 じつに熱のこもった論述を一応読了。ふう。

 午前五時半過ぎ通り雨でふっと目覚める。すぐ眠りに落ちる。
 午前六時、25.2℃(五時25.9℃)。湿度は五時の85%から93%に上がったが、気温は下がった。
 午前九時、28.1℃。南北の窓を開放。吹き抜ける風が心地よい。
 午後ニ時、29.5℃。源兵衛川を流れる風が心地よい。子どもたちはワイワイ水遊び。友だちも川へ入る気がしない、と。だなあ。
 通り抜ける風が気持ちよく、冷房不要の一日。もう秋?

 ネット、いろいろ。

《  多産作家の本格秘孔
  西村京太郎「殺しの双曲線」
  山村美紗「黒の環状線
  内田康夫死者の木霊
  赤川次郎三毛猫ホームズの推理
  笹沢左保「突然の明日」
  草野唯雄「女相続人」
  島田一男「古墳殺人事件」
  辻真先「合本・青春殺人事件」
  斎藤栄勝海舟の殺人」
  松本清張「ガラスの城」 》 猟奇の鉄人
 https://twitter.com/kashibaTIM/status/1022054515103608833

 未読は山村美紗「黒の環状線」、草野唯雄「女相続人」、斎藤栄勝海舟の殺人」、松本清張「ガラスの城」。探求本でもある。

《 日本人から思考を奪う「国体の正体」とは何か/白井 聡  國分 功一郎 》 東洋経済ONLINE
 https://toyokeizai.net/articles/-/229556

《 「今のうちに220億円の生命保険に入っておけ」 》 ネットゲリラ
 http://my.shadowcity.jp/2018/07/post-13634.html

《 おもてなし、が、おだぶつさま、になりかねない酷暑の中のオリンピック問題。お仏壇の滝川にならぬよう、屋外競技はせめて夜間開催ですわな。 》  木下斉
 https://twitter.com/shoutengai/status/1022304590715219968

《 無洗米に「あらうまい」って商品名つけた人ノーベル賞とってほしい 》 silossowski
 https://twitter.com/silossowski2/status/1021635192430059521