『近代日本一五○年』四

 山本義隆『近代日本一五○年』岩波新書2018年初版「第4章 総力戦体制にむけて」を読んだ。

《 幕末から明治にかけて、日本は欧米の軍事力によって、欧米の第一次産業革命のもたらした技術革新と動力革命に開眼させられたのではあるが、 第一次大戦によって、欧米の第二次産業革命による技術革新すなわち、新しい化学工業の発展や内燃機関の発明のもつ重要性を、この場合もやはり軍事面から 認識させられることになる。 》 125頁

《 結局、日本では自動車産業も航空機産業も、ともに兵器産業として育成されたのである。 》 135頁

《 総力戦のための統制経済が実行されるためには、政党政治が後退し、政治勢力として軍そして官僚組織が全面に出てこなければならなかったのである。 》  135頁

《 もともと日本の化学工業は「国策産業」として始まったのだが、とりわけ窒素を扱う肥料工場はそのまま爆薬工場に転換しうるのであり、肥料工場は「国防産業」 なのであった。 》 140頁

《 自由主義経済にたいして統制経済を選ぶと同時に、技術行政を国家によって一元的に管理し指導することこそは、ナチスドイツの国民社会主義スターリンの 計画経済に大なり小なり影響を受けた彼ら専門技術官僚(テクノクラート)の目標であった。そしてその目標は、総力戦体制による高度国防国家という軍人の目標に 合流していく。 》 147-148頁

《 総力戦は、軍事と政治と経済の一体化を要求したのであった。 》 149頁

《  「革新官僚」は、自由主義経済がすでに限界に達しているのであり、社会主義の計画経済や国民社会主義の強力な行政指導に倣い、官僚による合理的で計画的な 指導によって産業を発展させるべき、と考えていたのであった。そしてそれは、軍の追求する総動員体制と親和していた。軍と官僚は、利潤追求を第一とする企業や 自由主義者の抵抗を抑え、総動員体制へと行き着いたのである。
  背景には、急速にファシズムへと傾斜していった昭和の歴史がある。 》 153頁

 じつに濃密な論述だ。朝鮮人や中国人へのひどい扱いも述べられている。

《 その巨大発電所の電力はすべてコンビナートと日本人住宅だけに使用されていたのであり、土地を奪われ強制移住させられた、そして過酷な労働に駆り出された 現地の朝鮮人や中国人には何の恩恵もなかった。エネルギー革命による最新化学工業の発展は、植民地の資源と労働力の収奪に支えられていたのである。 》 142頁

 お昼過ぎまで小田原市からの十人を源兵衛川へ案内。三時間。ふう。
 午後、友だちの飼っているインコと戯れる。呼ぶと幾度も首を縦に振る。友だちが呼んでも首を振らない。カワイイ。インコは世界をどう認識しているのだろう。

 ネット、いろいろ。

《 ここってことを妥協はしないできたから、今があると思うところ。妥協し続ける人はずーっと妥協していく。 》 木下斉
 https://twitter.com/shoutengai/status/1061148597754847233

《 東京高裁長官の告発状 ・ 東京地検は受理、捜査開始か? / 美和勇夫 》 つづりまとめ
 https://blog.goo.ne.jp/isao1216/e/57b17a9cc99f536885b54c4ebb91f735

《 「憲法改正の議論さえしないのであれば、国会議員として職場放棄ではないか」って下村博文さん、そりゃないよ。「憲法を守らないあなた方こそ職場放棄」 ではないですかね。そんな風に野党にいちゃもんつけるのは筋違いですぜ。それより例の200万円の説明はどうなりました? 鶴首して待ってるんですが。 》  立川談四楼
 https://twitter.com/Dgoutokuji/status/1061465900270813185