『日本の版画 I 1900-1910 版のかたち百相』 (閑人亭日録)

 『日本の版画 I 1900-1910 版のかたち百相』千葉市美術館1997年刊を再読。以前読んだときは小原古邨が一言も出てこなくてガッカリした。後年千葉市美術館で 収蔵品目録を見ると、作品は収蔵されていた。ただ私の良いと思う(欲しい)木版画はなかった。
  http://www.ccma-net.jp/publication_catalog/1997/1997_04.html
 きょうの再読の目的は審美書院。

《 また審美書院から東京美術学校日本画科出身の川面義雄の監修により『浮世絵派画集』が明治39年(1906)に出版、ここでは木版摺以外の手法、厚薄和紙貼合せの コロタイプ刷に下絵色分けするという方法などが用いられ複製されている。こういった複製によって、より多くの人々の鑑賞が可能となり、研究のための資料が民間へ 普及したといえる。 》 小池満紀子「近代版画と浮世絵」 20頁

 審美書院への言及はこれだけ。"より多くの人々の鑑賞が可能となり"には一寸疑問符がつく。 山崎純夫【田島志一と審美書院】を読むと桁違いに高価だったようだ。
  http://web.kyoto-inet.or.jp/people/artbooks/kusa13.html

 『浮世絵派画集 第1輯~第5輯 初版 』極細密彩色木版刷 初版限定200
  https://www.kosho.or.jp/products/detail.php?product_id=256899846
 古本値¥1,620,000円。安くて¥1,296,000円。
  https://www.kosho.or.jp/products/detail.php?product_id=5372859

 京都の山崎書店には行ったことがあるが、審美書院の本展には行けなかった。

《 木版印刷で驚くべき美術書を造った審美書院の代表的な出版物の展覧会です。この古き良き時代の印刷技術は、明治期後半に最高の域まで到達し、 明治の終焉とともに急速に衰退していきます。同時代の國華社の國華も交え日本が世界に誇れる書物を是非ご覧ください。 》
  http://web.kyoto-inet.or.jp/people/kusanone/sinbi.htm

《  光琳派画集 全5冊 明治36年審美書院刊行
  日本の美術図書出版に大きな足跡を残した審美書院の代表的な出版物の一つです。琳派の魅力を内外に紹介した最初の図書ではないでしょうか(英語版も発行)、 原画が絹の場合 絹本に木版摺り、金箔の場合は金箔地を使用して木版で摺る 古色の持つ味わい さらに剥落や亀裂まで復元する、というこだわりが この書籍の最大の魅力です。奥付によると編集者田島志一の住所は、京都南禅寺町三十三番となっています。発行所審美書院は東京都下谷区二長町五十二番地と 記されていますので、田島志一がまだ京都に住んでいた時です。審美書院を設立して本格的木版摺り画集刊行の大きな一歩と言えるでしょう。  》  山崎書店 「審美書院の光琳派画集」
  http://www.artbooks.jp/story.html

《  審美書院発行の画集の表紙は、ほとんどが絹本に彩色木版摺りです。
  なかの作品の版画面が次ぎの頁に触れないよう和紙の台紙をくぼます、あるいは表装布を復元して四方を囲むなど工夫しているのには驚きます、 造本もとてもしっかりしています。 》 同上

 昼過ぎ、ネット注文した古本『真美大観 第八册』日本眞美協會1902(明治35)年が届く。意外や帙にソフトカバー。おお、日文英文併記。
 「編輯兼發行者 田島志一 京都市上京區南禪寺町三十三番戸」
 「發行所 京都市下京區大和大路四條通下四丁目建仁寺内禪居庵」

《 ・真美大観 1~  明治32年
  最初は日本佛教美協会會の名で出版する。編集兼発行者は田島志一で印刷者は下京区本町通五条下十五丁目十七番戸 爾文荷 印刷所株式会社東京築地活版製造所と なっている。全20册 完結は明治41年となる。 》 審美書院の本展
  http://web.kyoto-inet.or.jp/people/kusanone/sinbi.htm

 午後、先だって本屋から受けとった新刊、 新井俊春 『名人農家が教える有機栽培の技術』月曜社2019年初版を有機農業をしている若い知人に贈る。欲しかった本、 と言われる。それは嬉しい。きょうはいい日だ。
  http://getsuyosha.jp/kikan/isbn9784865030808.html

 ネット、うろうろ。

《 つげ義春の作品集『ねじ式』のフランス語版。装丁も印刷もすばらしいので買ってみた。翻訳もよくできていて、「ねじ式」にしろ「ゲンセンカン主人」にしろ、 ほとんど違和感がなく、むしろいっそう鮮烈な超現実をよびおこす。★ 》 巖谷國士
  https://twitter.com/papi188920/status/1176984215797157888

 半世紀前、月刊『ガロ』でつげ義春の作品に出合えた幸運。

《  【バスキア展 メイド・イン・ジャパン】@六本木ヒルズ
  初期の怒りや違和感を描くことが喜びでもある伸びやかな表現から、急速に「喜び」が失われ、形の品質だけが保たれていく姿が痛ましかった。 バブル前夜の拝金ジャパンが嫌いだったということも痛切に感じた。 》 寮美千子
  https://twitter.com/ryomichico/status/1176774212930768896

《  人間らしい暮らしに必要な雇用は①無期雇用②直接雇用③生活できるだけの賃金、この3つです。
  これらのどれもが、多くの人に果たされていません。
  特に直接雇用ではなく間接雇用の派遣労働には、致命的欠陥があります。派遣元も派遣先も雇用責任を負わないから。 》 渡辺てる子 れいわ新選組
  https://twitter.com/teruchanhaken/status/1176531233544622080

《 ルーツとの対話(トーク)、身体から問うーーダンサー/振付家北村明子さんとの対談(byケイン樹里安) 》 HAF TALK
  https://www.hafutalk.com/post/interview06

《 今後は体制批判と解釈される作品や活動には一切公的資金は支給されないからそのつもりで、という告知だと思います。そこで、僕からの提案ですけれど、 この愚劣さを可視化するために、どこかで「阿諛追従展」というのをやりませんか。全篇政権へのおべんちゃだけで構成された展覧会。 》 内田樹
  https://twitter.com/levinassien/status/1177017995144491009

《 原一男監督最新作『れいわ一揆』予告編  》 YouTube
  https://www.youtube.com/watch?v=kqJd-pr2vZY