「木版画の極み」「木版画の頂き」(閑人亭日録)

 明治後期の国華社と審美書院の本の多色摺り木版画が「木版画の極み」ならば、奥野淑子(きよこ)、久田誠道の木版画は「現代木版画の頂き」と言えよう。国華社と審美書院の、多色摺りによる古典作品複製木版画は、現代の原色カラー図版に較べて遥かに訴求力がある。魅入ってしまう。彫師摺師の、古典に対する敬意、称賛があるのだろう。その心意気、制作姿勢を私はひしひしと感じる。
 奥野淑子の黒一色による精巧な木版画は、先ずその麗麗と流れるような彫刻の独自の痕跡に目が奪われる。美しい舞踊のよう。久田誠道の木版画は、ざっくりと、けれども取捨選択、しっかり構築された画面に、単色系のグラデュエーション(諧調)のさりげなく綿密な構成に、しばし息をのむ。奥野淑子、久田誠道は、ネットには私のもの以外、情報がないも同然。不思議だ。
 http://web.thn.jp/kbi/okuno.htm

 午前十時過ぎ、今年初のゴミ拾いへ。源兵衛川上流、蓮馨寺墓地横の茶碗のカケラ、ガラス片を拾う。重くなって終了。帰宅。一汗。ふう。