『生の昂揚としての美術』ニ(閑人亭日録)

 大岡信『生の昂揚としての美術』大岡信フォーラム(花神社発売)2006年初版、「アルトゥングとアルトゥング財団」1998年初出を読んだ。

《 この国には、時間的により新しく生じたものは、より古いものより無条件に尊重されるという、近代日本人の民族的特質と言ってもよいだろう悲しむべき習性が あって、それが外国美術の受け入れ方にもはっきり反映している。受け入れた対象の持つ時間的また歴史的拝背景をあまり考えず、「流行」の観点から、思想でも 芸術でも処理することに急なので、その結果、新しいものもたちまち「過去」に組み入れられてしまい、しっかりした「歴史」になって残っていくということができない のである。 》 56頁

《 このような時代に、いわばあえて大勢にさからって、大規模なアルトゥング展を開催しようという愛知県美術館の意気込みに、私はうたれるのである。美術館という ものの存在理由の一つに、普通の考え方をしていては実現できないような展覧会を率先して開催し、多くの人々のものの見方に、ある新しい見方の種をまくというものが あるだろう。その意味で愛知県美術館の今度のアルトゥングて展は快挙だと言わねばならない。 》 61頁

 「サム・フランシスをなつかしむ」を読んだ。

《 最近の私のサムに関わる詩を最後に引用したい。(中略)題は「ヴェニスの画廊」という。 》 88頁

 第三連。

《   ぼくらは覗く 大きな画廊を二つに仕切つた
   人気絶頂似顔絵画家の新作展、
   展覧会オープニングの翌日には、新聞の
   美術欄ぢやなく、社交欄に記事が出る人。  》 88-89頁

 第六連。

《   ぼくらは二分で通過して、力なく
   海岸通りの喫茶店のテラスに腰かけ、
   疾走するローラースケート少女たち
   少年たちを茫として観賞した。  》 89頁

 第八連。

《   「ご同様さ、あれを高い銭出して買ふ
   客もおいでになるのかね アメリカ人には。
   わが家の壁に毎朝毎朝ぶら下げておいて
   客にも自慢するのかな。結構な成金趣味だ」  》 90頁

 最終連、最後の一行。

《  ワーホルさんの一物絵画も 下痢と一緒に流れてしまつた。  》 91頁

 ネット、うろうろ。

《 飽きられてしまった昔の一発芸が展示されている美術館をコンクリ造でリベスキンドに設計してもらいたい。 》 千葉雅也
  https://twitter.com/masayachiba/status/1196634996506644480

《 読書記録:反出生主義特集―哲学的議論の入り口として『現代思想 2019年11月号』 》 ルジャンドルの読書記録
  https://nattogohan-suki.hatenablog.com/entry/2019/11/12/010003

《 最悪の協定FTAが何なのか、多くの人が知らないままだろう。あまりにもひどい不平等な内容なので、政府もメディアも国民に知らせずに通そうとしている。 TPPもそうだが、アルファベット略語に注意。「桜を見る会」追及で追いつめ、FTAの強行裁決を防ぐこと。★ 》 巖谷國士
  https://twitter.com/papi188920/status/1195855819603996672

《 『桜を見る会』、「そんなくだらないことより」って擁護している人たちがいるけど、そんなくだらないしょうもないところで、権力使って自分の宣伝しようと 企んだ人が、もっともくだらない恥ずかしい人物という認識でよろしいか? 》 室井佑月
  https://twitter.com/YuzukiMuroi/status/1195671463535054849

《 あの日々を思い返しつつ、いま総括を眺めるに、庶民にとってのアベノミクス効果の実体というのは、安倍晋三自画自賛、御用経済学者・評論家どもの 「ぼくがかんがえた日本のしょうらい」、および人々の口を封じるネトウヨの恫喝だけだったことになる。 》 津原泰水=やすみ
  https://twitter.com/tsuharayasumi/status/1196286943295705089

《 『いだてん』を延長したらどうだろう 》 鯨統一郎
  https://twitter.com/kujira1016/status/1196231209786806273