『日本政治思想史』再読・四(閑人亭日録)

 原武史『日本政治思想史』放送大学振興会2017年2刷、「第12章 各論9・異端の諸思想」を再読。

《 丸山眞男は、(中略)「正統」という概念について論じています。それによれば、正統には教義・世界観を中核とする orthodoxy (O正統)と、統治者または統治体系を 主体とする legitimacy (L正統)という二つの概念があります。orthodoxyに対立するのは heresy ないし heterodoxy で、漢語では「異端」がそれにあたります。
  しかし「国体」という概念は、L正統はあっても、O正統はありませんでした。 》 199頁

《 つまり、「国体」は「万世一系」の天皇を統治の主体とする概念ではあっても、言説によって教義や世界観をはっきりと定義することができず、「君民一体」の空間を 通して視覚化されることで身体ごと実感されるものであったがゆえに、潜在的にはあらゆる思想と両立し、無限に抱擁することのできる可能性をもっていたわけです。 》  200頁

《 では、近代天皇制のもとでは、どういう思想が「異端」と見なされるでしょうか。その第一は、L正統そのものを否定する場合であり、第二は、L正統は否定しなくても、 O正統に相当する協議を兼ね備えていたり、新たにO正統をつくり出そうとしたりする場合です。第一の代表例はマルクス主義、第二の代表例はキリスト教でした。 》  200頁

《 一九四〇年には、近衛文麿内閣もとで地域の最小単位として隣組が整備されました。前章で記した「国民奉祝の時間」や「全国民黙祷時間」は、隣組の回覧板によって 周知徹底されました。こうして末端における住民どうしの自主的な相互監視体制が強まるなか、言説化されないがゆえにO正統にはなり得ない「時間支配」が、大東亜協栄圏 全体に浸透していったのです。 》 212頁

 「第13章 各論10・戦後の「アメリカ化」」を再読。

《 しかし、強行採決から三〇日が経過した六月一九日には新安保条約が自然成立し、七月に岸内閣が退陣すると、闘争は急速に終息へと向かいました。条約がいったん 成立してしまうと、多くの国民の目には安保改定が動かしがたい既成事実として映ったからです。第3章で触れた「なる」の論理が浸透していったといってもよいでしょう。  》 228頁

 「第14章 各論11・戦後の「ソ連化」」を再読。
 「第15章 各論12・象徴天皇制と戦後政治」を再読。
 原武史『日本政治思想史』放送大学振興会、再読を終える。読み応え十分。再読してよかった。視野が広がった。また読むこともあるだろう。

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 ネット、うろうろ。

《 死者の声を運ぶ小舟/小川洋子 》 The New York Times Magazine
https://www.nytimes.com/ja/2020/08/06/magazine/atomic-bombings-japan-books-hiroshima-nagasaki.html

《 「国を守る」とか「交戦権」とかの理屈は前線に絶対に出ることがないであろうエラーイ人の言うことで、 下々の民はわけも分からず自分が死なないために必死で武器を振り回していたのではないだろうか。どんな戦争でも先に死ぬのは普通の人々。 》 マキエマキ@自撮り熟女
https://twitter.com/makiemaki50/status/1294809816477495296

《 今度は「ウィズコロナ五輪」ですって。

  「オリンピックとパンデミック   ソレ トトント トトント TOKYOで?」
    (さあ、みなさんご一緒に)  》 藤原編集室
https://twitter.com/fujiwara_ed/status/1294536327283658760

《 それよりも、もっと目立つのは政府の無策です。 》 Koichi Kawakami
https://twitter.com/koichi_kawakami/status/1294113419478437888

《 さらに目立つのは「安倍の雲隠れ」です。 》 哲夫:反ファシズム
https://twitter.com/bbtetsuo/status/1294719751982202881

《 永遠に休んでほしい…… 》 TKO
https://twitter.com/taitaism/status/1294917711894474753

《 なんで自分の水を飲まんのかね?君たち。 》 あよ
https://twitter.com/Ayoster_classic/status/1294456240009965568