『空海論/仏教論』八(閑人亭日録)

 清水高志空海論/仏教論』以文社2023年4月20日 初版第1刷発行、後半の「第二部 『吽字義(うんじぎ)考』」を読み進める。最後の二十頁を読んだ。読了。簡潔にして・・・難解。最終頁から。

《 『吽字義』のすべてを、冒頭から終わりまでこれですっかり私たちは経巡ったことになる。霊場の巡礼のように、あるいは旋陀羅尼のように、その全体を順繰りに辿って吟味することが、空海の思考を蘇らせるためには必要であった。この書物が著されたのは九世紀の初頭、紛れもない古代である。その古代にあって、すでにこれほど複雑に繁茂した、高度な哲学が東洋で発展し、しかもそれを空海はわずか一字に収めて、簡潔に表現しようとしたのだ。本書で展開された『吽字義』の考察から、『即身成仏義』、『声字実相義』へと遡ると、いたるところでこれら即・声・吽の三部作が響きあっていること、その根本の趣意に変わりがないことに誰もが気づかされるに違いない。 》 248頁

 よくぞこんなに複雑な世界構造、世界観を構築したものだ。空海に感嘆するしかない。この本も一読では私には理解は無理。いずれ再読することになる。それもまた愉しい。しかし、疲れた。暑さだけのせいではない。
 この夏初の夕立。