季違い 木彫椅子(閑人亭日録)

 未明、寝苦しくてふと目覚める。そこに浮かんだことば「墓地」と「基地」。浮かんだのはひらがなの「ぼち」と「きち」。はてさてどんな漢字だったっけ、と眠気が去って気になって仕方ない。こんな簡単な漢字が覚束ないとは。よいしょと起きてライティング・デスクの漢和辞典を開く。そうかそうか、忘れぬように帳面に手書き。パソコンを使い始めてから簡単な漢字が書けなくなってきた、とはよく聞く話。私も、だ。ま、ボチボチ習うさ。基地といえば「基地外」がネットでよく使われた。「気違い」と書くとコードに引っかかるらしい。ま、私はその昔から横溝正史の探偵小説で別の変換語で知っていたけどね。その一言がモノを言う。

 午後、白砂勝敏さん夫妻が、静岡グランシップで展示した木彫椅子『ナゴメイテ』を我が家の二階へよいしょと運び上げる。窓辺にすっと収まる。
 https://shirasuna-k.com/gallery-2/wood-sculptures-chair/
 それまでは倉庫に保管していたが、友だちに勧められて展示を機に自宅の二階に置くことにした。いつでも誰でも座れる。それが椅子にとって幸せなことだろう。見るだけでは、ねえ~。体験してこその鑑賞。茶碗も同じだろう、と言う人がいるだろうが、私には無理。手に乗せて鑑賞することは厭わないが、お茶席で使うのはお断り。理由は、むにゃむにゃ。